アメリカのタイムゾーン(標準時)とサマータイム
1.アメリカのタイムゾーンの概要

アメリカは国土が広いため、国内で時差があります。本土は以下の4つのタイムゾーン(標準時帯)に分かれており、西海岸と東海岸では3時間の時差があります。

東海岸標準時(Eastern Standard Time: EST) →グリニッジ標準▲5時間(日本との時差:▲14時間)
 主な都市:ニューヨーク、ワシントン、ボストン、 フィラデルフィア、アトランタ、デトロイト、マイアミ

中西部標準時(Central Standard Time: CST)
 →グリニッジ標準▲6時間(日本との時差:▲15時間)
 主な都市:シカゴ、ヒューストン、ダラス、ニューオリンズ、ミネアポリス、セントルイス

山岳部標準時(Mountain Standard Time: MST) →グリニッジ標準▲7時間(日本との時差:▲16時間)
 主な都市:フェニックス、デンバー、ソルトレークシティ、エルパソ

太平洋標準時(Pacific Standard Time: PST) →グリニッジ標準▲8時間(日本との時差:▲17時間)
 主な都市:ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガス、シアトル

例えば、日本が2月1日の正午(12:00)のとき、アメリカ東海岸はその14時間前、つまり、1月31日の午後10時(22:00)ということになります。

また、
アラスカ(アンカレッジなど)はグリニッジ標準▲9時間(日本との時差▲18時間)
ハワイ(ホノルルなど)はグリニッジ標準▲10時間(日本との時差▲19時間) になります。

→つまり、アメリカには「東部、中西部、山岳部、太平洋、アラスカ、ハワイ」の6つのタイムゾーン(標準時帯)があるということです。これらのタイムゾーンを地図にすると以下のとおりです。
 



(タイムゾーン地図)

 

地図を見ればお分かりいただけるように、タイムゾーンの境界線は必ずしも州境と一致していません。
テネシー(TN)やケンタッキー(KY)、サウスダコタ(SD)、アイダホ(ID)といった州は、州内でタイムゾーンが真っぷたつに分かれています。また、テキサス(TX)やカンザス(KS)、ミシガン(MI)、インディアナ(IN)のように、州の西端のごく一部だけが違うタイムゾーンに入っていることもあります。

 

2.サマータイム(Daylight Saving Time)の概要

 アメリカでは、昼間の長い春から秋までの約半年間、仕事後の余暇の促進や照明用エネルギーの節約などを目的として、サマータイムが実施され、時計の針が1時間進められます。ただし、アメリカでは通常、”サマータイム”ではなく、デイライトセービングタイム(Daylight Saving Time: DST)”と呼ばれます。開始は毎年4月の第1日曜日、終了は10月の最終日曜日です。ちなみに、この制度は日本でも昭和20年代に実施されましたが、不評のためわずか数年で廃止されました。最近、省エネなどのため復活させようとの動きもありましたが、再実施には至っていません。

サマータイム中の時間は、”地域名+Daylight Time”で表現されます。具体的には、東部(EDT)、中西部(CDT)、山岳部(MDT)、西海岸(PDT)といった感じです。

※1986年以前は4月最終日曜日が開始日でしたが、より省エネを進めるため、4月第1日曜日に変更されました。

 

3.サマータイムは何時に始まり/終わり、その瞬間、時間はどう変わるのか

 アメリカの場合は、開始日(4月第1日曜)、終了日(10月最終日曜)とも、夜中の2時に切り替わります。夜中なのは、時差調整による市民生活への影響を最小限に抑えるためです。具体的には、4月の場合、夜中の1時59分59秒の次が3時00分00秒(1時間進む)になります。10月の場合、夜中の1時59分59秒のあと、2回目の1時00分00秒になります。同じ日に、1時から2時までが2回あることになりますが、この時間に起こったニュースなどは、"Standard Time (ST)"と"Daylight Time (DT)"をつけることで区別します。

※ヨーロッパの場合、切り替えは夜中の2時ではなく、1時です。国によって異なります。

 <自宅でお手軽にサマータイムを体験する方法>

 皆様お使いのパソコンに内臓されている時計は通常、サマータイム対応です。

(1) (ウィンドウズだと)画面右下の時計をダブルクリックし、「タイムゾーン」を「GMT−5:00(東部標準時)」にする。また、その下の「自動的に夏時間の調整をする」をチェックする。
(2) 「日付と時刻」を、2004年4月4日午前1:59にする。
(3) 1分待つ。

…ね! 体験できましたか?

 

4.サマータイム実施国と実施時期

現在、サマータイムを導入している国の、サマータイム開始日と終了日の一覧です。年によって変わる国もあるので、実際に現地に行かれる場合には、次のサイトで確認されることをお勧めします(time and date.com;DST dates の項目)。

国・地域 開始日 終了日
イスラエル 3月第3金曜 10月第1金曜
イラン 3月21日 9月21日
ヨルダン 3月最終木曜 9月最終木曜
モンゴル 3月最終日曜 9月最終日曜
欧州・旧ソ連各国 3月最終日曜 10月最終日曜
レバノン・キプロス 3月最終日曜 10月最終日曜
イラク・シリア 4月1日 9月30日の夜中
アメリカ・カナダ
メキシコ・キューバ
4月第1日曜 10月最終日曜
ガザ地区 4月第3金曜 10月第3金曜
エジプト 4月最終金曜 9月最終金曜
ナミビア・パラグアイ 9月第1日曜 4月第1日曜
フォークランド諸島 9月第1日曜 4月第3日曜
ニュージーランド 10月第1日曜 3月第3日曜
豪州(タスマニア島) 10月第1日曜 3月最終日曜
チリ 10月第2日曜 2月第2日曜
ブラジル 10月第2日曜 2月第3日曜
豪州(原則) 10月最終日曜 3月最終日曜

中緯度・高緯度の国の中では日本、韓国、中国、アルゼンチン、南アフリカ、アイスランド(=夏は白夜なので時計を進めても関係ない)がサマータイム非導入です。

 

5.アメリカにおけるサマータイムの例外(ハワイ・インディアナ・アリゾナなど)

 ところが、アメリカの中でも、全ての州がサマータイム(daylight saving time)を導入しているわけではありません。ハワイ、アリゾナ、そしてインディアナの3州はサマータイムを実施していませんまた、プエルトリコやサモアなどの離島も非実施地域です。

比較的低緯度にあるハワイやその他の離島、アリゾナ州ならば、「サマータイムを導入するほど昼間の時間が長くない」という理由も分かりますが、気になるのが、結構北の方に位置するインディアナ州です。

 現在のアメリカの標準時についての法律は1966年に制定されたものです。この法律で、サマータイムの開始日、終了日は、混乱を避けるため連邦政府が決定することとされたのですが、サマータイム制度自体への参加の是非は各州が判断することとされたため、一大農業州であったインディアナ州では、農業従事者達が早めに日の入りが来ることで早く仕事を終えたいという要望が強かったため、サマータイムが導入されませんでした。

 さらにややこしいことに、インディアナ州全体がサマータイム不参加というわけではありません。
 インディアナ州の大部分は、ニューヨークなどと同じ東部標準時であり、サマータイムがないので夏場は中西部サマータイム(シカゴなど)と同じになります。
 しかし、隣の州とのつながりが大きい南東部の5郡(上の地図で赤く表示した小さな地域)ではサマータイムを導入しているため、1年中、東部時間と同じになります。また、シカゴに近い北西部と、南西部の、計10郡では標準時自体が中西部時間と同じであり、サマータイムも導入されています(つまり、年中シカゴと同じ時間)。

 アメリカ人にとっても、周辺でインディアナ州だけサマータイムが導入されていないために混乱を生ずることがあるようです。近年一層の工業化が進む中で、当初の不参加理由も意味を失いつつあり、「サマータイム空白区域を埋めるべき」との議論も強くなっているようです。

 また、アリゾナ州については、「例外の例外」があります。上に書いたとおり、アリゾナ州自体はサマータイムを実施しないのですが、州北東部にあるナバホ・インディアン保護区(自治区)内では、他の州と同じようにサマータイムを実施しています。このため、夏場にナバホ・インディアン地区内にある「モニュメントバレー」へ、グランドキャニオン(アリゾナ州)から向かう場合、同じ州内でありながら、モニュメントバレーの方が1時間時計が進んでいることになります。

 

6.アメリカの離島のタイムゾーン

 冒頭で、アメリカには「東部、中西部、山岳部、太平洋、アラスカ、ハワイ」の6つのタイムゾーン(標準時帯)があると書きましたが、厳密には、アメリカの離島の中に、これ以外にタイムゾーンに属するところもあります。

<上記6つのタイムゾーン以外の場所>

(1) グアム島サイパン島(北マリアナ諸島): → グリニッジ標準+10時間(日本との時差:+1時間)

(2) ウェーク島: → グリニッジ標準+12時間(日本との時差:+3時間)

(3) プエルトリコ米領バージン諸島 →グリニッジ標準▲4時間(日本との時差:▲13時間)

(4) サモア島ジャービス島キングマン島ミッドウェー島パルミラ島
 →グリニッジ標準▲11時間(日本との時差:▲20時間)

(5) ベーカー島ハウランド島: グリニッジ標準▲12時間(日本との時差:▲21時間)

ジョンストン島及びアラスカのアリューシャン列島はハワイと同じグリニッジ標準▲10時間(日本との時差▲19時間)のタイムゾーンです。

 

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