東人の出戻り浜生活産業遺産湧水トンネル

湧水トンネル

 
 九州を東西に横断する豊肥本線の立野駅から南阿蘇鉄道が出ている。
 南阿蘇鉄道は阿蘇山の外輪山に沿って進み、高森で終点となる。
 
 この高森には、「湧水トンネル」と言われる開通しなかったトンネルがある。
 南阿蘇鉄道は、昭和3年2月12日に開業した国鉄高森線であった。
 高森線が高森で終っている理由もこのトンネルにあった。
 
 熊本と宮崎を鉄道で結ぶ計画は明治の頃からあり、そのために高森線と日ノ影線(現在の高千穂線)が先ず整備された。
 高森から高千穂までをトンネルで結ぶ建設工事は昭和48年から始まった。
 しかし、昭和50年にトンネルから大量の水が流れ出し、工事が中断され、トンネルの建設計画が断念された。
 
 その後、このトンネルは整備され、高森湧水トンネル公園として公開されている。
 トンネル内には、中央に水路が設けられ、きれいな水が大量に流れている。
 水量は、毎分32tという。
 
 トンネル内は、七夕の時期には竹飾りが設けられるとのこと。出かけた時には、クリスマスツリーやイルミネーションで飾られていた。

 
 トンネルは500mほど続き、行き着いた所では、トンネルは岩で塞がれ、岩の間から水が流れ出していた。
 実際に水が出たのは高森から2kmの地点とのことで、ここは観光用に作られたものであろう。
 


 トンネルの終点附近には、「ウォーターパール」という、ストロボを利用して、球状の水滴が実際よりもゆっくりと空間を動くように見える設備が設けられている。
 
 また、「マイクロ水力発電実証試験設備」と説明がついている水車が回っていた。

マイクロ水力発電実証試験設備

 水車は古くから「粉引き」や「水田への揚水」などに利用され、現在でも活躍通であり最近は観光資源としての勝ちが見出され脚光を浴びています。
 この試験設備では、これまで利用されることがなかった小河川や用水路を自然に流れる「水野エネルギー」を利用した水力発電の可能性を実証すると共に、環境に優しい小規模発電設備の開発を目的としています。
 発電設備は水の流れを回転力に変換する「水車と増速装置」、電気を作る「発電機」、電気を負荷に伝える「制御装置」から構成されています。
 この設備で一般家庭の電気を賄うことはできませんが、部分的な「街路灯」。「非常用照明」、また「非常用電源」などに利用できると考えています。
 
   
設備設置者: 宗城大学工学部電気工学科 西田鉄工株式会社(技術開発部)