気がつくと私はおりの中にいた。

え?ここどこ?何で私、おりの中にいるの?
おりの中といえば刑務所だろうか。それとも動物園?
私、人間だよね?じゃぁ動物園じゃないよね?
刑務所!!!
私、悪いことしたっけ?万引きも1回もしてない。やったといえば
期限が切れた定期でバスに乗ったことがある。すごい怒られ、学校にも連絡されたっけ。
ごめんなさい。でもそれでおりに入ることなんてないよね?
人殺し!?!?!?

ガタン。おりの外に誰かがいる。
白い服を着ている。あれは看護婦だ!
「看護婦さーん!看護婦さーーん!」
「静かにしてください。」
冷たく言い放たれた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
私は人間とは思えないような叫び声を出した。すごい暴れ方をした。
ガタン。看護婦が来た。やった、おりから出られる!
看護婦の手には注射器が。
私は記憶を失った。


目がさめた。
やっぱり私は怖い夢を見てたのね・・・と思ったのにやっぱりおりの中だった。

そういえばトイレに行きたい。
トイレに行く時、おりに出られるかも?
「看護婦さん、トイレに行きたいのですけれど・・・」
「そこでしてください。」と冷たく言われた。
え?そこで??
おりの中には便器がひとつあった。ここで?
私は16歳の清らかな乙女。彼氏もいないのよ。
それなのに、壁もドアの無いおりの中で用をすませというのかぁ!
我慢できない。私はここで、した。いやぁな感じは今でも覚えている。

ああ。疲れた。私は壁に目をやった。
・・・・・死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい・・・・・
ぞぉうっとした。ここには鉛筆が無い。どうして書いたのかかなり謎だ。
よく目をこらして見ているといろんな文字が見えてくる。

突然、ぬうっと手が出てきた。びっくりした。
「み・・・水・・・。」
このおりの隣のおりにいる人だ!
「え?あ、はいはい、水ですね。」
おりの中に置いてあったコップに入っている水を差し出した。
すうっ。手が消えた。
あの手が誰だったか、今でもわからない。


つづく