夏休みに試合に出ることになった。テニス部に入って初めての試合。1年生も全員参加する。
やっと私もコートで練習させてもらえた。
試合はダブルスで参加予定。私は前衛でただ立っているだけで
後ろの子がすべて玉を拾う、そうゆう作戦となった。(そんなぁ)
「全員が試合に参加しよう!」それがテニス部1年の合言葉になった。
逃げたかった。だけど、逃げられない。
1学期最後の日、私は顧問の先生の所に行った。
辞めるつもりは無かった。だけど先生の顔を見ると涙があふれてきた。
涙が止まらない。私は声をあげて泣いていた。
「辞めるか?」先生はすべてがわかっていたらしい。
泣きながら首をたてに振った。震える手で退部届を書いた。
ずっと優等生で通してきた私の初めての敗北であった。
退室しても涙は止まらなかった。バスの中でもずっと泣いていた。
親に見つからないように布団の中にもぐりこんだ。涙はなかなか止まらなかった。
次の日、親に連れられて精神科に行った。
私の様子がおかしい、親はずっと気づいていた。
「自律神経失調症、ですね。」
医者は言った。
私の耳には医者の言葉はあまり耳に入らなかった。
それよりも今日は試合だ。
1年生は16人。全てダブルスで参加。要するに私が抜けたことで1人試合に出れなくなるのだ。
全員参加が合言葉だった。私のせいでそれが達成できないことになる。
みんなにどんなに恨まれることだろうか・・・
これからどうしよう。
夏休みは何もせずぼんやりすごした。
北海道の短い夏が終わった。