覚悟

12月14日、大学選手権1回戦・関東学院大戦。負けたらシーズン終了のトーナメントで初めて背番号1を背負ってスタメン出場したのが4年生PR勝矢紘史選手。試合前日、上井草グラウンドで行われた決意表明では全部員の前で「4年間の全てを出し切る」と力強く約束します。

「もう色々考えすぎずに、全て自分がやってきたことを出そうと思って、それがノンメンバーに対する礼儀じゃないですけど、そういうものかなと思って言葉にしました。」

対抗戦・明治大戦の激闘から1週間、スタメン8人を入れ替えるなどチームの選手層の厚さが試される一戦で、主役となったのはジュニア選手権を16年ぶり優勝に導いた4年生メンバーでした。勝矢選手もBチームで長く時間をともにした4年生と健闘を誓います。

「やっときたな…って感じでした。ジュニア選手権の戦いを大田尾さんも評価してくれたのだと思うし、もうこれが最後になってもいいってぐらいにやろうと決意していました。いつも出ているメンバーだけじゃなくて、そういう仲間と一緒に戦い抜けたのが…萩原とか金子とかと出来たのはすごい嬉しかったです。」

ハイライトは後半5分、走り込んだLO萩原武大選手からのオフロードパスを受けてインゴールへ。ジュニア選手権で苦労してきた2人で繋いで奪ったトライに部員席も大盛り上がりも、トライを記録した勝矢選手は感情を表すことなく、淡々と。

「へそ曲がりなので…」

それでも正直な気持ちを続けます。

「萩原もすごい喜んでくれていましたし、バスをもらったのが萩原というのは特別な思いも多少ありました。」

後半10分過ぎまでプレー、スクラムで優位に立ち、ボールキャリーでも体を当てて前に出ます。リザーブメンバーに選ばれながら出場機会のなかった早明戦の反省も生かせたと話します。

「いい準備が出来ました。明治戦に出られなくて思うところもありましたけど、やっぱり自分が100点満点の準備ができていなかった悔しさがありました。そこから切り替えて、いい準備ができたのは成長かなと思います。ただ、最初のペナルティを2本やっちゃったりとか、入りの部分だったり、まだまだ詰めていかないといけない部分もあると思っています。」

大学2年時に首脳陣からの勧めでバックローからPRに転向、着実に力をつけて迎えたラストイヤーは左PRのレギュラー争いに食い込み、対抗戦での経験値を重ねていたもののここから…という10月上旬、負傷により戦線離脱。

「とにかく悔いのないように。ここでちょっと(リハビリを)サボったら、引退した時に悔いは残るだろうし、そのことを常に考えて、もうその日その日、1日1日できることを120%やって消化していったって感じでした。1人じゃ、それはできなかったと思いますし、仲山や池本だったりとか、一緒にリハビリしてきた仲間もいて、あと和田さん(コーチ)ともずっとやってきて出来たことかなと思います。」

厳しいリハビリを乗り越えて、11月末にジュニア選手権決勝で復帰すると、委員という立場もあり、チームに貢献したいという思いがより強いものに。

「1番思っているのは後悔したくないという事。例えばチーム作りでも、僕が目の前のことを見逃したら、後で後悔するかもしれないし、例えば自分の自主練習でも、きついから…と止めてしまったら絶対後悔すると思います。その日終わってもいいぐらいに毎日積み重ねていこうと気合いでやっています。自分はエナジーを出して、また時には厳しいことを言いながら、チームに200パーセントでコミットしていくこと。コミットした上で、周りにも後輩たちにもその背中を見てもらえるような存在になれればと思います。」

One Shot-チームスローガンそのままに1日1日、一瞬一瞬に全てを懸ける4年生の覚悟に注目です。【鳥越裕貴】


後半、トライを記録するPR勝矢紘史選手。次戦に向けて「一戦に全てをかけるっていう思いをぶらさずに、自分の役割をもっともっと詰めていって、120%遂行したいと思います。」