もし、あなたがアメリカからメキシコへの陸路入国を考えている場合、入国自体は意外なほど簡単です。徒歩で入国し、国境の街を短期間訪問するだけなら、特に問題も生じないと思います。ただし、国境地帯を越えて南の方へ向かうのならば、各種手続きをしておく必要があります。
※以下の情報は2003年7月時点のものです。情報が変更になっている可能性がありますので、あくまで参考情報として取り扱ってください。
I.入国手続
1.国境地帯の街(ティファナなど)に短期滞在する場合
アメリカからメキシコ側へ陸路入国する場合、3日(72時間)以内に再度アメリカへ戻ってくるであれば特段の手続は必要ありません。パスポートをチェックされることもスタンプを押されることもなく、驚くほど簡単に入国できます。ただ、アメリカに戻ってくる際に備えてパスポートとI−94(アメリカ入国時に記入した半券)は忘れずに持参する必要があります。
2.国境地帯より南下する場合、3日を超えて滞在する場合
この場合、入国手続が必要になります。イミグレーションでパスポートを提示し、ツーリストカード(6ヶ月間有効)を発行してもらう必要があります。手数料は頻繁に変動しますが、2003年夏時点で20ドル程度でした。
ところで、このイミグレーション、地元の人は手続き不要のため使わないので、自分でオフィスに向かう必要があるのですが、どれがその建物か、分かりにくいケースがよくあります。私の経験では、それらしい建物に入り、全く英語が通じないので一緒に旅行していたメキシコ人にスペイン語で聞いてもらったところ、「パスポートを見せろ」と言われ、入国手続してくれるものだと思ったら、「国境から70km南に自動車で走ると、手続できる場所が見つかるから、ここでは手続する必要はないよ。」と言われ、パスポートを返されました(…このおじさん、単に日本のパスポートが見たかっただけ?)。仕方なく、しばらく走ったのですが、さすがに不安になった(…というか、さすがにありえないだろうと思った)ので、別の国境に行き、そこで入国手続をしました。後述しますが、国境地帯(アメリカ国境から50kmほど)を越えると軍の検問があったりして、国境で入国手続していないと面倒なことになるおそれがある(「不法入国」になる)ので、不正確な情報が不安なら人に聞きまくるしかないかも知れません。国境によっては、ツーリストカードを置いていない場合もあるので要注意です。
ちなみに、シウダードフアレス(Ciudad Juárez,
Chihuahua)、パロマス(Palomas, Chihuahua)、ノガレス(Nogales, Sonora)の3か所に関する限り、英語はかなり通じにくい状況でした(ティファナのイミグレはさすがにそんなことはないと思いますが)。
II.自動車登録
メキシコで自動車を運転する場合、アメリカ(カナダ)の車検登録に加え、メキシコ国内の短期自動車登録を行う必要があります。検問時にも、メキシコでの登録証を見せるよう指示されることがしばしばあります。一方、ティファナ、シウダードフアレスなど国境の街だけを運転するなら、事実上、登録をチェックされることはありません。しかし、この登録をしないとメキシコ国内の自動車保険に加入することができません。登録のためには、申請書のほか、パスポートと写真のあるページのコピー、アメリカの自動車登録証とコピー、免許証(アメリカの免許証の場合、裏表のコピー)が必要です。コピー屋さんは通常、イミグレーションの近くにありますがコピー代が非常に高かったので、時間の節約の意味でもあらかじめ持参した方がいいと思います。手数料は米ドル換算で1台20ドル程度ですが、その場で支払うのではなく、振込用紙が交付されるので、メキシコ国内のいずれかの銀行窓口で手続することになります。登録証のほかシールが交付されるので、運転席側のガラスに貼り付けます。
※免許証について:
メキシコは、日本の国際免許証の効力を認めていません。上記手続は「アメリカの免許証」を持っていることが前提です。したがって、メキシコの運転免許(視力検査と簡単な筆記試験により、1〜2日で発行。多少の手数料上乗せと交渉次第で試験免除のケースも?)を取得する必要があるのが建前です。実際には、メキシコでレンタカーを借りるのに日本の免許で問題なかったという体験談も聞きますが、「公式には」上記の説明は、登録手続はアメリカの免許を持ってアメリカから入国する方にのみ当てはまることになります。
III.両替
メキシコでは自国通貨であるペソのほか、米ドルが普通に使えます。ただ、国境から離れるにつれレートが悪くなるので、国境の両替所などで当面必要な分を両替してしまうことをお勧めします。私はドル現金からペソに変えたので、円の場合にレートが不利なのかは、よく分かりません。お店などでは必ずしもクレジットカードが使えるわけではないので、現金は多めの方がよいと思われます。現金が不足した場合、ATMなどでクレジットカードを使ってキャッシングすることは可能ですが、かなりレートは悪くなります。
IV.自動車保険
アメリカの自動車保険は通常、メキシコでの事故をカバーしません。レンタカーの場合、そもそもメキシコでの使用を認めない可能性もあるので、事前に確認が必要だと思います。TとUの手続終了後、国境近くの保険屋(小さな国境だと通常の商店が保険も販売している)で契約します。私が契約した保険屋(小さな国境だったので選択の余地なし)のケースでは、契約期間は日割りで選択、対人賠償額は最大1000万円程度でそれ以外のオプションなし(これで十分ということ?)、自動車盗難の場合の補償額を車の価値に応じて選べるようになっていました(私は8000ドルに設定)。
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エルパソ→シウダードフアレス国境。
何もしないとほとんどフリーパスだが、南下する場合は入管に立ち寄り、きちんと手続を。

ほとんどプレハブですが、シウダード・フアレスの西約50km、Palomasの入管事務所(自動車登録事務所)。マイナーな場所から入国すると手続は早いです。隣には簡単な両替所、保険代理店もありました。
アメリカ・メキシコの大動脈、ノガレス(Nogales)国境(写真はメキシコからアメリカへの入国時)。混んでいるときは数時間待たされることもあるので、朝夕のラッシュは避けるのが無難。
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