英文日本国憲法に見る正しい前文解釈のページ

2006.11.5


憲法改正議論にあたって、タカ派右系ジャーナリストが言うように本当に日本国憲法は戦勝国たるアメリカ合衆国に押し付けられた屈辱的な憲法であろうか?それをここで分析し検証してみたい。

憲法がどのような思想や意図で作られたかを知るには日本国民のビジョンを語った現憲法前文を分析することで確かめることができるはずである。しかし、日本語で語られた前文は一面普通の人には難しい解釈困難な文書になっていて読んでいても何が言いたいかわからない人が多いだろう。しかし、英文で書かれた憲法は割合と平易で一部専門用語があるだけで比較的理解することが容易である。このほぼ同時に作られた英文憲法を読解することで日本国憲法の思想や意図(ビジョン)を正確に知ることができると私は確信した。

以下英文日本国憲法の前文の直訳である。まずは読んでいただきたい。

「我ら、日本国民は、我らの正しく選ばれた代表者たちを通じて国会の中で活動しており、我らは我ら自身と我らの後世の人々のために全諸国との平和に満ちた協力の結実とこの国土にあまねく行き渡る自由の加護を守るべきであることを決定し、かつ決して再び我らが政府の活動を通じた戦争の恐怖に見舞われるべきでないと決意したので、主権者の権限が国民に存在することを宣言し、かつこの憲法を堅く制定する。
政府は国民の聖なる信託の形のひとつであり、国民に由来する権威であり、国民の代表者によって行使される権限であり、かつ国民が享受する奉仕活動である。これはこの憲法の基礎とした人類の普遍的原理のひとつである。
我らはこれに相反する全ての諸憲法、諸法律、諸政令、諸勅令を拒絶し撤回する。
我ら、日本国民は、永遠に平和を欲し、かつ人類の互いを尊重する関係を支配している高い理想の意識を深く持つことを欲する。我らは我らの安全と生存を保護することを、平和を愛する世界の国民の 正義と誠実を信頼して決意した。我らは平和を守り暴虐隷従行為、脅迫強制行為の追放を地球から永遠に追放するために努力している国際社会の中の名誉ある地位を占めることを欲する。
我らは世界の全国民が平和の中に生き、危惧と困窮からまぬかれる権利を持つと認識する。 我らはいかなる国も自国にだけに阿ることはなく、政治倫理の法則が普遍であると信じる;即ち同法則に従うことは自国に存する主権の地位を維持し他の諸国に存する主権を互いに尊重する関係を正当化しようとする全諸国にかけられた義務であると信じる。
我ら、日本国民は、我らの国の名誉にかけて、我らの全資力を尽くしてこれらの高い理想と目的を成就することを誓約する。」

これは英文のスタイルに忠実に訳したもので普通の日本語としてはかなりぎこちなくわかりにくいので意訳し()内に注釈を加えたものを以下に示す。

「我ら、日本国民は、我らの中から公正な選挙によってのみ選ばれた代表者たちで構成された国会の中で活動しており、我らは我ら自身と我らの後世の人々のために平和を愛する全諸国民との共同した取り組みの成果を守り、自由の恩恵を全国土に恒常的にあまねくいきわたるようにするべきであると決意し、かつ決して再び我らが国民の意思に反する勢力による戦争の惨禍に遭わないようにするべきであると決意したので、主権者の権限が国民に存在することを宣言し、かつこの憲法を謹んで制定する。
政府は国民の聖なる信託の形であり、国民に由来する権威的存在であり、国民の代表者によって行使される権限を有し、かつ国民に対して奉仕活動を行うものである。これは人類の普遍的原理であり、この憲法はこれに基づいて作成されている。
我らはこれに相反する全ての諸憲法、諸法律、諸政令、諸勅令を今後拒絶する。
(日本は今後、憲法、法律、政令、勅令を策定する場合この普遍原理に反するものは一切制定してはならない)
我ら、日本国民は、永遠に平和を欲し、かつ人類が相互に尊重しあう関係を持つべきとする高い理想の真髄が根付いている。我らは我らの安全と生存を維持できるのは、平和を愛する世界の国民の 正義と誠実が有って初めて実現できると信ずる。(日本は平和を脅かすものがあれば安全と生存が維持できない)我らは平和を守り暴虐隷従行為、脅迫強制行為を地球から永遠に排除するために尽力している国際社会の有志の一員となりその名誉ある地位を占めることを目指す。(日本は平和を乱し、自国民や他国民を脅迫し奴隷化しようとするものに対して断固戦うことを誓う)
我らは世界の全国民が平和の中に生き、危惧と困窮からまぬかれる権利を当然持っていると考える。 我らはいかなる国も自国の利益だけを追求せず、普遍の政治倫理の法則が実行されるべきと考える;同法則に従うこと即ち自国に存する主権を維持しつつ他の諸国に存する主権を互いに尊重する関係を目指すことが全諸国にかけられた義務であると考える。(日本はこの義務を全世界の国が果たすための国際世論を尊重する仕組みを構築することを目指す)
我ら、日本国民は、我ヶ国の名誉にかけて、我らの全精力を尽くしてこれらの高い理想と目的の成就を目指すことを誓約する。
(日本は国内及び国外において以上の高い理想を達成するための努力を惜しまない)」

これを分析すると文意は大きく分けて2つそれぞれさらに2つに別れ、以下のような合計4つに分析される

<主権在民(国内向け理念)>

@国会の位置づけと主権在民の理念

独裁政府の強制による戦争からの自由

A主権在民に基づく政府の理念

政府は国民のために活動する

<国際平和の願い(国外向け理念)>

B平和を守る国際社会の名誉ある地位を目指す

世界各国の他国への暴虐隷従脅迫強制行為の禁止
人類の相互尊重関係に基づく世界平和の実現

C他国の主権を互いに尊重する国際社会を目指す

全世界国民の平和共存を図る
世界各国の自国のみの利益追求の禁止
各国の主権の相互尊重関係の実現

これを見て言わんとするのは明らかに日本国民は平和を国内外に広め守る志士となることを目指して憲法を定めているということがよくわかる。これは明らかに押し付けられた屈辱的なものでなく、日本国民が願う平和憲法たるゆえんである。この前文の理念の前提が今現在の国際情勢に照らしてみてもよく当てはまることは皆さんよくわかりますよね。他国を脅迫したり隷属させようとしたりする国はこの日本国の隣国にいることは明らかです。私たちが外交・軍事の両面で国民の意思に従って断固戦うことは日本国憲法に沿った行動であるということが大事なことです。

また、日本国憲法はこの前文の理念に従って作られているので、憲法第9条が何を意図しているかに関しての解釈に余地はないことは明らかです。

@我々は武力そのほかを持って他国を威嚇するような行為はしない。

Aそのような目的で武力を保持しない。(自国の防衛と世界の平和の目的ならよい)

裏の意味としては

B武力を使う前に相手を尊重した外交努力をする。

C武力を行使する場合は大多数の国にとっての平和の目的で大多数の国からの支持があるときだけ。

最近核兵器を持つべきかどうかを議論すべきという声があるが上記の憲法理念からすれば、明らかに日本の勝手で他国を威嚇する目的で持つことはこの理念に反することである。持つならば威嚇の目的でないこと、他国の了解の下であることが条件になる。よって事実上持つことはかなわない。(どうしても核を持ちたいなら@専守防衛の目的にのみ使用するA国連の承認を得て使用するということを含んだ法律を作っておけばよい)

また、集団的自衛権が禁止されているという解釈はありえない。世界平和を守る同志であれば協力して差し支えない。ただし、宣戦布告をして戦争行為をする国に加担してはならない。しかし、一方的に侵略された国を救うことは許される。そういう解釈は成立する。

最後の大事なことは日本国憲法の前文でこの前文に反する新しい憲法の制定が禁止されていることである。したがって現在、前文の意図に反する改憲をしようとする勢力があるが、こうした行為は憲法前文違反である。