ビリーとヘレン 04/08/06 ル テアトル銀座
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この舞台を観るキッカケは 友達が好きな「THE CONVOY」の舘形比呂一氏の主演舞台だから。
相手役は当初 斎藤由貴であったが ご懐妊とのことで元宝塚の絵麻緒ゆうさん。
「ル テアトル銀座」は初めてだった、中型の劇場ってとこかな、前から4列目中央より左寄り。
傾斜もちょうどいいくらいあるので 舞台は良く見える(^w^)
舞台上には 流木風の木で組みたてられた 家なのか店なのか。。玄関なのか、外なのか、、、
大きな舞台装置の変換はなく その場面によって模すものを表すといったかたち。
雑貨屋の椅子だったり、老婆のベットだったり、船だったりと、、、
左手、セットの奥にたったひとり音楽担当のエレクトーン奏者、、、、これがまたいい味なんだわ。
割と奥行きのある舞台で 一番奥の壁は岩のような色あい。真中で割れるのだが いびつな十字架を形作る。
舞台はアイルランドの小さな島。
時代はヒットラーが戦争を繰り広げていた頃。
嵐のなか稲妻が落ち壁が割れる・・・運命の十字を課すかのような・・・・
海辺で赤ん坊をとりあげる男がひとり。
それから17年。
雑貨屋を営む老姉妹、なんだかやりとりがおもしろい。。。。重いばかりの舞台ではなさそう(笑)
2人が育てる ビリーは手足不自由だけど本が大好きな青年。まだ帰ってこないと心配な2人。
そこへ現われた島の情報屋ジョニー。3つのニュースを持ってきた。
2つは島のどうでもいいようなニュース。
最後のひとつは アメリカから映画の撮影隊がやってきて 出演者をも探している、、、というニュースで
島は色めきたっているという。それより2人が心配なのは ビリーのこと。情報屋によると土手で牛を見てたという。
情報屋は雑貨屋に置いてある 豆やらをお茶やらを持ってさっていく。
その後現れたのは お菓子めあてのバートレイ。あれもないこれもないと言われ凹む(笑)
ビリーが帰ってきた。足はびっこをひいて手は曲がったまんま。
医者へ行ったあと 牛を見ていたという。
そこへやってきたのは バートレイの姉のヘレン。
とんでもない暴れん坊で お尻を触った神父をぼこぼこにしてきたらしい(笑)
ビリーにも 罵声を浴びせる「びっこのビリー・・・・」
弟のバートレイにも容赦なし。肋骨折るほどのパンチをおみまいする。でもなんか憎めない感じ(笑)
バートレイの役は TVでも見たことある近藤芳正氏、、、16歳の設定に若干無理?いえいえ とっても上手い。
自分のセリフ以外のところで 後ろでちょろちょろやってる小芝居が妙におもろい。
さてこの姉弟、うわさのアメリカ映画に出るために 漁師のバビーの船に乗せてもらうという。
それを聞いた ビリーは出航の準備をしているバビーの元へ。
びっこのビリーは 島中のうわさの種。笑いの的。こんなところ抜け出したい。
どんなにお願いしても バビーは乗せてはくれない。
とうとうビリーは 自分がかかっている医者からの手紙をバビーに見せる。
それを読んだ バビーは乗せてやると約束する。
手紙の内容は ビリーは結核であと3ヶ月の命だということだった。
バビーの妻は同じ病気で亡くなっている、同情したバビーは乗せてやると約束したのだ。
そのやりとりをまんまと聞いた 情報屋ジョニー。
ビリーの去ったあとバビーにせまる、だけど逆にこてんぱんにやられる。
医者が来て ジョニーの怪我の手当てをしながら 母親の酒も注意する。
ジョニーの母親は 90を超えているのに酒が止められないのだ
それにしても このばあちゃん めちゃめちゃおもろい。なぜか 芋焼酎が好きだったりして(笑)
ジョニーは医者から ビリーの病気のことを聞き出そうと必死。
だが 医者には守秘義務があると言って教えてはくれなかった。
映画の監督の目にとまったビリー。
島には帰ってこず ハリウッドに行ってしまった。スクリーンテストを受けるというのだ。
映画に使われなかった ヘレンと弟バートレイは帰ってきた。
相変わらず弟をいじめるヘレン。玉子ぶつけたりして(笑)
ビリーの病気のことは今では 島中の人が知っている。。。2人のおばさんを除いて。
あれから 4ヶ月が過ぎた。もう死んでしまったのだろうか?
ヘレン達が出たかった映画の上映会。
相変わらず 玉子を持ってくだをまくヘレン。
今度は映画のスクリーンに向かって投げつける(なんと客席(爆))
上映会が終ると なんとビリーが帰ってきた!
映画には結局出ることができず 傷つき帰ってきた。
それより 病気は?。。。。。なんとあの医者が書いたという手紙はビリーのウソ。
船に乗せてもらう為に 自分で書いたのだった。
それを知った 漁師バビーは激怒 どんなに謝っても どんなに自分がこの島で辛かったのかを
言っても許してはくれない。ビリーをこてんぱんにしてしまう。
医者に手当てをしてもらいながら 変な咳をするビリー。
元々喘息持ちではあるのだが・・・・・・
ビリーにはどうしても知りたいことがあって戻ってきたという。
それは 自分の両親がなぜ死んだか。
ウワサでは 自分が奇形だったのを悲観して海で自殺したと聞いていた。
自分は望まれず、愛されず 邪魔者であったからなのか?
本当のことを教えようと 情報屋ジョニーは話し出す。
奇形で生まれてしまったビリーを どうしても助けたかった両親は自分達に
多大な保険金をかけ ビリーをジョニーに託し自分達は 麻袋に石を詰め海に身を投げた。。。。
その保険金を元に ビリーに治療を受けさせ 今のビリーがここにいる。
それを聞いたビリーは 自分は愛されていたのだと分かり喜ぶ、、、、
ところが それはジョニーの優しいウソだった。
真実を知る 老姉妹はそんなウソを言ってくれたジョニーに感謝しつつも本当のことを語る。
島中の笑い者である ビリーを生んでしまったことに悲観した両親は
麻袋にビリーを詰め込んで 嵐の海に身を投げたのだった。。。
そんな中 なんとかビリーを助けあげたのは 情報屋のジョニーだった。
ビリーの母親の残した預金を使って ビリーを医者にみせたのもジョニー。。。
その後 子供のいない老姉妹がビリーを育ててきたのだった。
そんなことをしらないビリーは幸せを感じていた。
そして ずーーーーと秘めていた想いを打ち明ける。なんとビリーはヘレンを愛していた。
やっとの思いでビリーはヘレンに告白する。
「ぼ 僕と夜の海を散歩してほしい」
だが ヘレンは 「なんで 私があんたなんかと 歩かなきゃいけないのよ」
「同じスピードでも歩けないくせに。びっこのくせに」と罵声をあびせる
ビリーは言う 「君は僕と同じだから」・・・・・
けれども 笑い者になるのはごめんだと 去って行くヘレン。
すっかり 落胆したビリーは海にきた。
両親がそうしたように 麻袋に石を詰め自分の身体に巻きつける。
するとそこへ ヘレンがやってきた。「気が変わった 一緒に散歩にいってやる」という
「でも 人目につくのはやだから 夜だぞ」と・・・・それでも大喜びのビリー。
麻袋をほどき 「いつ?明日?」 「明日はだめだ 弟バートレイの誕生日だからな」
「プレセントは決めたの?」 「ああ もう実は買ってあるんだ 望遠鏡だ」
ずーーーーーと バートレイがほしがっていたものである。
「じゃあ その次ぎの日に行こう」と約束し 去って行くヘレン。
大喜びをする ビリーだが・・・・・・
身体は すでに結核に蝕まれていた、、、、
そのまま 咳き込み 血を吐き、、、、遂には天に上っていく。
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ふ〜 ものすごいあらすじ暴露(爆)
なんかね 忘れたくないしね。(笑)
割と重い内容だけれども 一人一人がちょっとづ面白エッセンスを持っていて
肩こらずに見ることができた。
老姉妹のとぼけたやりとりしかり、情報屋と母親のスピードあるやりとりしかり、
また ヘレンと弟バートレイのやりとりもかなり笑えた。
印象的だったのは ヘレンの本質っていうのか、、、気持っていうかを見抜いていたビリーの台詞
「僕と君はおんなじだから」
それと いじめまくる弟に あんなに馬鹿にしていた望遠鏡を買ってあげたというところ。
ビリーはそんなヘレンを ちゃんと見ていたんだね。
批評なんかを読むと ヘレンは白痴であると書かれている。そうは思えないし見えなかったけど
身体の不自由な男と 頭のイカレタ女の恋だったのだろうか? もっと違う感じがしたんだけど。
プロデューサーの方は “じゃりんこチエ”と“シザーハンズ” の恋、と言っている。
うん そうだね そっちのほうがしっくりくる。なんとも 切なくて面白い恋物語だ。
ビリーの心を描くシーンのひとつに ひとりアメリカに渡り
シーツにくるまり 現実に落胆し嘆き苦しむシーンがある。
ものすごい迫力とリアルさに 息を呑むほどだったのだけど
島に帰ってきたビリーはその時に吐いていた言葉は 映画のセリフだった・・・・・
練習していたと言うのだ。。。。。考えさせられる名シーンだ。
もうひとつ引き付けられたのが 映画の上映会で みんなで映画を見ているというシーンの後ろに
白い幕があり その後ろで幻想的に躍るビリー。
元々舞踊家である舘形氏の真骨頂。 ビリーの苦悩や痛みを切々と躍り描く。
影だけなのに ものすごいセクシーな筋肉が浮かび上がる(なに見てんじゃ)
舞台セットでは最後 血をはき苦しみもだえるビリーの後ろ
十字架のように 切り裂かれた岩の隙間が 真っ赤になっていた、、、、胸が痛くなった。
皮肉にも自分がついた うその病に本当にかかってしまい
遂には 死んでしまう。
ヘレンとの恋は その後どうなって行くはずだったのだろうか?
。。。。そんなことを思うと とても切ない気持になる。
天に昇っていったビリーを 演じ切った舘形氏が
ビリーから素にもどる瞬間。すごい美しかった(^w^)
手足をすーーっと伸ばし 背筋をきりりと伸ばし まさにダンサー。
いままでずーーーーと見てたのに 顔の小ささ驚く(笑)
演技とは 凄い物だと実感したひとときでした。
帰り道 一緒に行った友人が このビリーの役GOROでもできるね?
と言ってくれた。そうだね 確かにこういう役 合うかもっ。
でも また自分を追い詰めてしまうだろうから辛いかも。そんで歳もね。。。。
ビリー17歳だから(笑)
関連記事:http://www.majorleague.co.jp/kouen/biri/kikaku.html
舘形氏インタビュー : http://eee.eplus.co.jp/s/bh/
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