Q 尿失禁があるのに、突然尿閉になり多量の残尿 10年前から糖尿病で通院中で、現在はインスリンを皮下注射しています。定期検診では、今のところ眼底や腎臓機能に異常はなく、糖尿病の合併症はなさそうです。 さて、最近おしっこが近く、よく尿が漏れます。それにもかかわらず一度尿がでなくなり救急外来で看護婦さんに導尿してもらったことがあります。その時は400mlも膀胱の中に尿がありました。このことは、とても心配ですが、かといって恥ずかしい部分の話だけに内科の主治医の先生にいうべきかどうか迷っています。 ●49歳 主婦 ●出産/3回(自然分娩) ●糖尿病(39歳から) |
A 糖尿病が原因の可能性があります。はずかしいことではありません。むしろ、糖尿病の経過を判断する大切な情報です。
お話しでは、尿がよく漏れるということと、一度尿がでなくったことがあることから、日頃から膀胱の中に残尿があるのではないかと思います。これは、糖尿病が原因である可能性が高いのです。
糖尿病で神経障害が起きることがあります。糖尿病による目の病気、腎臓の病気とならび、糖尿病のなかでも多い3大合併症の一つです。糖尿病性神経障害をおこすと、膀胱は、尿がたまっても感じることができないとか、膀胱がうまく収縮できないなどの症状がでます。このために、排尿後にも尿が残る(残尿)のです。またそれに気が付かないことも多いようです。この残尿があると、人によっては、頻尿になったり、尿が漏れ出てくることがあります。これがあなたの尿失禁ではないかと思います。
また糖尿病の方は、感染に対する抵抗力が弱くなっているので、ばい菌が膀胱に入ってくると、残尿の中で繁殖してしまう危険もあります。尿道炎・膀胱炎になりやすいので定期的な尿検査も必要です。
ぜひ内科の先生にお話をして、泌尿器科に受診する必要があるでしょう。
糖尿病の方の神経障害は感覚がわかりにくくなってくるという特徴がありますので、糖尿病でない方よりも残尿感がすくないことが多いと思います。わかったときにはかなり膀胱機能の低下が進んでいるというおそれもありますので、特に血糖のコントロールがうまくいかずに何年もたっている方は残尿検査と尿の細菌検査はかかさずにおこなう必要があります。
|
(海外文献から) 米国オハイオ州からの報告です。糖尿病では、尿閉をおこすことが多いため、糖尿病の方のウロダイナミック・スタディ( ページ参照)を調べたそうです。その結果はいろいろなパターンがあることがわかり、糖尿病の人は、ぜひこの検査をやっておくべきであると評価しています。(Goldman HBら、Voiding dysfunction in women with diabetes
mellitus.:Int Urogynecol J Pelvic Floor Dysfunct 1999;10(2):130-3 ) |