個人山行報告書
<日程> 2015/7/28~30
<山域> 北アルプス 前穂北尾根
<メンバー> 東、山口

コースタイム

7/28()

7:40      沢渡駐車場
8:20      上高地バスターミナル
9:40      徳沢園
11:05    奥又分岐
(中畠新道)
14:00    奥又白B.C. 

7/29()

5:15      奥又白(出発)
7:50      のコル
10:40   
12:00    前穂高岳山頂
13:20    A沢下降開始
14:00    A沢を登り返し下降開始点まで戻る
14:10    X沢下降開始
16:30    X沢滝
17:45    X沢、奥又白への登り返し点に到達
18:50    奥又白B.C.

7/30()

9:00      奥又白出発
11:00    奥又分岐
12:30    徳沢園
15:00    上高地バスターミナル
16:00    沢渡駐車場

ルート状況

1日目(7/28

天気は晴れ時々曇り。蒸し暑い夏日。

奥又谷は特に迷うところもなく歩きやすい。笹が茂っている。

奥又分岐には雪解け水の川が流れているので水を補給できる。この川は秋になると枯れる。
分岐から前穂高・奥穂高の方面を見渡すと、大きな雪渓が残っていた。「オクマタ カラサワ」と書かれた岩がある。
奥又白へは左の沢の、右側の尾根を通って行く。

奥又分岐〜奥又白はそこそこの急登が続く(今回は3時間ほどで通過)。休める場所が4つ程で限られている。
水と塩タブレットを摂って登る。笹と虫がうっとうしい。

奥又白手前でカールのようなところへ出る。分岐になっており、右へ行くと北尾根、左にトラバースすると奥又白。
奥又白に向かい、丘を越えると池が広がっている。歓声があがる光景だ。池を時計回りに周ると広い平地がある。
平日ということもあり他に一つテントがあるのみで快適だった。虫が多いので蚊取り線香を持っていくといいかも。
水場はさらに奥へ行き(踏み跡がある)、小さな沢を下ったところにある。伏流水がちょろちょろと流れている。

夕食はバジルパスタとコーンスープ。(東)

 

去年は雨の中、奥又日帰りだったが、今年は梅雨明け十日を絵に描いたような天気の中、汗だくになりながら中畠新道を登る。
最近、山へ行く回数が減ったためなのか、或いは歳のせいか、奥又へのこの登りが非常に辛い。
いつもは、途中で1回休憩するだけで池まで行くのだが、3回も休憩をしてしまった。きっと暑いせいだと言い訳して。

何回目の奥又白池なのか、自分でも覚えていないが、いつ来てもいい場所だなと思う。夏の間は、ずっとここで過ごしても良い程に。(山口)

 

2日目(7/29

天気は前日と同じで晴れ時々曇り。岩場は晴れていてよ〜と念じながら出発。よく眠り快調。
のコルまで:思ったより時間がかかる。計画書では1:30だが実際は2:30ほど。
一つ、崩落箇所があり山口さんにビレイしてもらった。

峰:こんもりした峰。登山道と同じように歩ける。

峰:北尾根の中では長い道。ガレている。
後半、正規ルートが崩落していて途中からルートがわからなくなるが、あちこち登っていると尾根上で復帰できた。

峰:3ピッチある。最初のピッチがチムニーでレイバック気味で登る。2ピッチ目は内壁登攀+御在所の西洋便器での「抱え込み」を使う。
「あ。あの動きでいいじゃん」とわかり、さくさく登れて楽しい。

峰下り:懸垂下降するのが一般的だが、

前穂高頂上:初の穂高連峰のピーク! 奥穂高方面はガスであまり見えなかったが、蝶が岳の方角は晴れていた。
吊り尾根を歩いてきたらしい登山者が数名いた。同じ風景でも登攀の達成感がある分ぼくのほうが浮かれていたに違いない。

A沢:少し下降するも、僕(東)が雪渓でキックステップがうまく出来ず、以下のようにルートを変更する。降りた沢は名無しのようなので、仮にX沢とする。
X
沢:抱えるサイズの岩も浮き石であるようなガレ沢。なるべく岩場を通って下降したが、ところどころ雪渓のトラバースが必要だった。(キックステップ覚えます……。) 恐る恐る進み、結果、下降開始から4時間ほどかかる。

途中2400m地点?に小さな滝(雪解け水によるもの。秋には無いと思われる)があり、水を補給できる。
徳沢園がよく見える眺望スポットで電波が通じた。ここは懸垂で通過する。

さらに降りていくと下又白谷へ出るが、奥又白へ復帰する場合、約2275m地点で茶臼の頭左方のコルへ向けて登り返す。

似たような地形が多く、現在地の特定が非常に難しい。復帰点の特徴を記述すると:沢の合流点をトラバース。
その先にさらにガレた沢がある。茶臼の頭のすぐ隣のコルを通過する。そこは背の低い植物や熊笹しかない。

奥又についたのは19時ジャスト。砂糖入り紅茶とペミカンシチューで生き返りました。(東)

奥又からⅤ・Ⅵのコルまでは、以前行った時と比べて、一箇所だけ崩壊していたが、迂回ルートの巻道もしっかりしていたため、問題なし。
Ⅴ・Ⅵのコルからは、何度も通ったのでルートを把握していたが、途中迷う箇所があった。
去年やそれ以前において、崩落があったせいだろう。それでも、前穂頂上までは、問題なく到着。ゆっくり休憩して頂上を後にする。

問題のA沢降り口まで辿り着き、雪渓を降りようとするが、琢磨が技術的にどうしても降りる事ができない。
沢の両側の岩場を使い懸垂しながら降りる事も考えたが、
A沢の後半部分が見えなかったため(後半の方が傾斜がもっと強い)、以前うなぎと間違って下降した沢を今回の下降ルートへ変更。

自分でも奥又への登り返し地点があいまいで、一度間違った沢を詰め、尾根に出て愕然とした。
が、そこで本来の登り返し地点を確認できたので、よかったが、後2時間歩く事になる。

奥又に到着し、琢磨お手製のペミカンシチューを食し、ビールも1本飲んだだけで寝てしまう。(山口)

 

3日目(7/30)

ゆっくり起きて中畠新道〜奥又谷を下山。午前に少し雨がふり慎重に降りた。大腿部の筋肉痛がひどい。(東)

 

初日に担ぎ上げたビールとワインの余りを渋々ザックに詰めて下山する。
途中から晴れ間も見えたため、徳沢でテントやシュラフなど乾かす。
徳沢で、琢磨に昨日懸垂下降した滝を教えたが、肉眼ではわからなかったみたいで、デジカメに撮って、教えてあげた。(山口)


 

感想

初めての3000m級の登攀登山でした! 
北尾根は御在所トレの甲斐もあり余裕をもって登れました。もっと難しいところにも行ってみたい!

奥又への復路が大変でした。山口さんが現在地把握をしてくれているときに、何も出来なかったのが反省です。
自分でも地図読みしなければ力がつかないですね。

山口さん、生活技術からキックステップまで色々と教えていただき、ありがとうございました。(東)

 

A沢の下降で、仮に琢磨にアイゼンを装着させても、かなり時間がかかったと思う。
やはり新人は剣周辺の長い緩やかなところから慣れさせるべきだと思った。

そして、今回の下降ルートは、以前間違えた経験があったので使おうと判断したが、そうでなかったら他のルート(前穂下降や奥穂から涸沢経由等)の候補を事前に考慮する必要があった。
琢磨は、去年の12月に入会し冬山の経験があるが、やはり新人は新人であった。
御在所の岩登りと雪上訓練はとても大切であるとつくづく感じた。(山口)