個人山行報告書
<日程> 2013/4/20
<山域>御在所岳
<メンバー>伊藤(聡)、百武、伊藤(美)、佐合、真野、三浦

<山行記録>
第一組:百武(リード)、伊藤美紀、真野さんと第二組:伊藤聡(リード)、佐合、三浦の2パーティで前尾根を登った。
P7は昨年までは難しいルートだと感じていた。アイゼンを装着して登ろうとして火花を散らして敗退したこともあった。
ところが今回は、自然にクラックに手を突っ込んでジャミングで体を保持して、足も自然に左側の立派なスタンスに乗せられて、
意外に簡単に次ぎのホールドに手が届いて、難なく登り切ってしまった。
あれっ、こんなに簡単に登れてしまう、と自分ながら驚いた。
伊藤聡さんから「P6からリードできるよ。」と言われてその気になって、リードを交代してもらった。
ザイルを付け替えてカムを持って登り始めた。スメアで登るちょと怖いと思う場所にはボルトが打ってある。
手が届けば、ランンイングビレーを掛けてから登るといい。」と下から指示の声が届く。
カラビナかけて「落ちてもここで止まるんだ。」と思うと、勇気が出て足のフリクションを信じて躊躇なく立ち上がることができた。
P5はコンテでそのまま通過しP4, P3はリードで登った。P2(ヤグラ、IV級)もリードできそうにも思った。
調子に乗って失敗すると危ない。先ず百武さんのリードで登らせてもらった。
「屈辱の西洋トイレ型岩」の直下は狭いポケットのような場所があり、その中に入り込むと身動きが取れないと聞いていたので、十分に注意して、体を岩から離して周囲の岩の状態を観察した。
佐合さんは左側を這うように登っていた。私は右側の岩に凹みをみつけて、スメアリングで登れるように思えた。
ボルトも右側に打ってあるので,右ルートが一般的だろう。偶然、私は上の岩に手を延ばしたら確実なホールドた掴めた。
そのままレイバック気味に両足のフリクションが気持ちよく効かせることができたので、難なく登り切ることができた。

伊藤聡さんからのリード作業上の注意:

1)落下係数を考えて、登り始め=ザイルの繰り出し長が短い段階でビレー点を作る。
 繰り出し長が短いと落下係数が大きくなり、衝撃が大きく、ビレー点が崩壊する危険性が高い。
(落下係数=落下距離/繰り出しザイルの長さ)
2)トラバース中の転落事故は登山者が大きく振られる。
 トラバース中間にランニングビレーを設置して2本ともザイルを掛ける。
 垂直方向の登攀だけであれば、、フォローは上からつり下げれられる限り安全に確保される。
 しかしフォローがトラバースしている間に連絡した場合には、上からつり下げていただけでは、横方向に振られるのを止めることができない。
 トラバース中のビレー点のカラビナにザイルを掛けておくことで、横方向の振れを予防できる。
3)カムの開閉角度は狭過ぎると回収できなくなり、広すぎると固定が甘くなる。
 引き出し角度は、落下時に下に力が加わることを想定して、やや下向きに設置する。
4)装備は整理して体系的に身につける:きちんと整理されていないと、本ちゃんで手間取って時間を浪費する。

<感想>
御在所の前尾根のリードで登るまで上達したことは本当に嬉しい。
私は「年を取れば身体能力は衰えるばかりだろう」と想像していた。しかし、ロッククライミングを始めて、1日練習すれば1日分確実に上達を実感できた。
肉体的に激しいトレーニングを必要としたら、私はすぐに諦めただろう。
私は右腰椎の椎間板ヘルニアの既往歴がある。衝撃力を脊柱に与える運動は絶対にできない。
この1年間、私はロッククライミング中に腰の痛みを感じたことがない。(長時間、椅子に座って仕事をしていると腰が痛くなるが… )
ロッククライミングの運動の本質は極めて静的で体にも優しい。
岩を登る際の重心の移動は「静荷重静移動」が基本だ。
極限的に静かな重心移動は、古武道、能、太極拳、ヨガにも通じる印象を持った。