冬山合宿山行報告書
<日程> 2012/12/29~31
<山域>八ヶ岳 石尊稜、阿弥陀北稜
<メンバー>伊藤(聡)、伊藤(登)、佐々木、福田、今田、酒井、田村
<コースタイム>
1日目:名古屋(6:30)→美濃戸(12:15)→赤岳鉱泉T.S.(14:45)
2日目:赤岳鉱泉T.S.(6:00)→石尊稜取付(7:30)→下部岩壁取付(8:30)→3P目敗退(10:30)→T.S.(14:30)
3日目:赤岳鉱泉T.S.(5:20)→行者小屋(6:00)→北稜取付(7:15)→第一岩峰取付(9:30)→阿弥陀岳頂上(12:00)
→行者小屋(14:15)→赤岳鉱泉(14:45/16:00)→美濃戸(17:00)→美濃戸口(17:40)⇒名古屋
<山行記録>
12月29日(土) 晴れ
猫集合。が、佐々木さんまさかの登山靴自宅デポ。ノアはみよし経由で、レガシー、プラドは名古屋から車で移動。
美濃戸口到着後、ノアはここで駐車。赤岳の山荘の駐車場までは、レガシーとプラドで突っ込む。到着後共同装備を振り分け、赤岳鉱泉へ。
赤岳鉱泉のT.S.にてジャンエス、アライ幕営。日没までの時間が迫っていたので、雪上訓練の代わりに赤岳鉱泉の人工氷壁でアイスクライミング。
かつお先生監修のもと、バイルの打ち方、登るときのスタンスを学ぶ。思った以上に早く腕が悲鳴をあげた。
練習終了後、宴会開始。聡さん、佐々木さん、GONTAさん、かつおさん、ゴリちゃん、酒井アヤピー、福田に加え、シゲさん不在のシゲ班から服部さん、佐合さん、鈴木夫妻が参戦。
11人何とかジャンエスに収まる。クリームシチューとすき焼きが今夜のメニュー。2012年忘年会は平和に幕を閉じました。
12月30日(日) 雪のち吹雪
朝4:30に起床。天気予報によると、午後から天候が崩れ吹雪らしい。6:00に赤岳鉱泉T.S.を出発し中山乗越方面に向かう。
途中、橋を渡ったところで分岐に当たり、ここから沢筋に入る。沢筋から三叉峰ルンゼに入っていき、しばらく登ったところで石尊稜に斜上。
このあたりから早くも吹雪きだす。草付、灌木帯を掻き分け、下部岩壁取り付きへ到着。(ボルト、残置捨て縄発見)
ここであらかじめミーティングで決めた2パーティーに分かれる。
A.福田(リード)-聡さん-佐々木さん
B.GONTAさん(リード)-かつおさん-ゴリちゃん
岩壁にしっかりしたボルトが打ってあったので、そこでビレイ。
福田が先陣を切る(易しいバリエーションルートといえど、本チャン初のリード。片手にピッケル、もう片方にバイルを握って登るのも初)。
資料で調べたとおり、まず全体的に支点が少ないことに少々ビビる。ルートについては岩壁に向かって、左、中央、右の3ルートから、右のラインから巻くルートで行く。
が、登り出して間もなくルートをミスって立ち往生。泣く泣くクライムダウンし、リードを佐々木さんとチェンジ。
先にGONTAさんが中央のルートから登り始める。佐々木さんもほぼ同ルートを選択。
お二人ともスイスイ登られる。40mほど登ったところでGONTAさん、佐々木さんそれぞれ灌木でビレイ。
続いてゴリちゃん、福田、かつおさん、聡さんの順でビレーポイントまで登る。
下部岩壁の注意点については
・ルートに支点が少ない
・雪が少なく、草付または岩にピッケル、バイルを決めなければならない
・岩が脆い
が挙げられる。
下部岩壁の後は、急な雪稜を登る。ピッチを切って先に進んでいくが、天気予報の通り、吹雪がさらにひどくなる。
回復も見込めない為、ここで引き返すことに決まる。
下部岩壁の終了点から約20mほど雪稜を上がったところにある、安定した灌木を支点に50m×2のザイルで懸垂下降。
岩が脆いので下降中の落石に注意が必要。下部岩壁の取り付きまで下降し、往路下山。
昼過ぎから宴会開始。キムチ鍋を喰らう。GONTAさん持参の厚焼き卵と聡さん持参の魚の乾物とともに酒が進む。
かつおさんが赤岳鉱泉より赤ワインを仕入れる。佐々木さんの個装である爽健ウィスキーを除いて、酒は余すことなく飲み切る。
夜になると雪ではなく想定外の雨が降り出し、フライのないジャンエス内で雨漏り発生。
次第に雨が止み、MSRの温室効果により内張も乾き、時間になったところで就寝。
12月31日(月) 曇り
朝4:00に起床。天気予報によると、本日の天気は昨日よりも冷え込み、風が強く吹雪になる模様。
気温は昨日に比べて低いが、天気は悪くない。予定通り阿弥陀北陵登攀決行。
5:20赤岳鉱泉から行者小屋へ向かう。文三郎道を進み、そこから中岳沢に入る。
北陵に通じる尾根に斜上し、急傾斜の灌木帯を登る。ここからラッセル。
GONTAさん、佐々木さんが交代でグイグイ進む。天気は相変わらず予想に反して曇り。強風もなく視界も良好。
第1岩峰取り付きに到着したところで、ザイルを結ぶ。ここで、安全環のスクリューが凍って開かないことに気付く。
擦っても開かない。聡さんより安全環を拝借。
(おそらくマムートのカラビナであった。全く凍っていない。くるくる回る。要確認。ちなみに佐々木さんの安全環も凍っていた。)
パーティーは昨日と同じく
A.福田(リード)-聡さん-佐々木さん
B.かつおさん(リード)-GONTAさん-ゴリ
の2パーティー。
Bチームは岩に打ち込んであるハーケン、Aチームは雪上でそれぞれビレイ。
AチームはBチームよりも少し奥のクラックから先にスタートし、ラインは左に回ってから稜上に出て、草付と岩のミックスを登る。
石尊稜よりも雪が多く、ホールドも大きいので迷わず突き進む。
支点が決して多いとは言えないが、岩やボルトに積極的にカラビナ、シュリンゲをかけていく。
40mほど登ったところで、安定したテラスの手前にある岩でビレイ。ザイルを引き上げ、確保器にセットして、作動確認をすると、いつもと違って全く引けない。
肩がらみで引き上げるかと考えているところに、Bチームのトップかつおさんが到着。
ここで安全環を使った引き上げ方法を教えていただく。これでスムーズに引き上げる。
それからゴリちゃん、GONTAさん、聡さん、佐々木さんが登り1P目終了。
2P目は目の先にあるフェースを登り、傾斜の緩い雪稜にでる。最後にリッジを渡り、傾斜を少し登ったところに安定した木(おそらくハイマツ)があるので、そこでビレイ。
すかさず先ほど教わった方法でセットして引き上げ。かつおさんは傾斜を登りきったところの安定した雪面でビレイ。
後はコンテで、雪面を左上し、阿弥陀頂上到着。結局天気は荒れることなく、頂上に着いてからは青空も見えた。
帰りは昨夜の雪、天候の急変を考慮して、中岳沢を使わず往路下山。
2P目の終了点辺りからは懸垂で第1岩峰の取り付きまで下降した。
T.S.に戻って撤収作業し始めると同時に、雪が吹き荒れる。運が良かった。これにて冬合宿の全行程が終了。
阿弥陀北陵での登攀において、気温が低いことは確認していたが「凍る」ということを全く想定していなかったため、すぐに対応できず時間がかかった。
冬の登攀に必要なロープワークを身に着けなければならない。次の山行までの課題として、また練習だー。
個人的には今回の合宿の目標だった「リードで登る」が達成できた。頂上に着いてからの聡さんと佐々木さんとの握手は一生忘れません。
本当に皆さんのおかげでした。石尊稜またリベンジしに行きましょう。
参加予定だったのに残念ながら体調不良で来れなかったシゲさん、ミキティー、諸事情により来れなかった三浦先生、次は行きましょう。
宴会しましょう。