冬山合宿山行報告書
<日程> 2011/12/28~2012/1/1
<山域>北アルプス 南部 東鎌尾根
<メンバー>山口、鈴木(脩)、堀尾、小山

<コースタイム>
1日目:名古屋→道の駅安曇野松川
2日目:宮城ゲート(6:30)→中房温泉(10:00)→合戦小屋T.S.(13:30)
3日目:合戦小屋T.S. (6:00)→ 燕山荘(7:30)→ 大天荘(12:00)
4日目:大天荘(6:45)→ 大天井ヒュッテ(7:45)→ 赤岩岳山頂(13:00)→西岳ヒュッテ(15:30)
5日目:西岳ヒュッテ(6:00)→水俣乗越(8:15)→ 槍ヶ岳山荘(13:30)→ 槍ヶ岳山頂(14:15)→槍ヶ岳山荘(15:00)→大喰岳山頂(15:45)→大喰西尾根宝の木T.S. (16:45)
6日目:大喰西尾根宝の木T.S. (7:00)→ 槍平小屋(8:00)→ 滝谷(9:00)→ 白出沢(10:00)→新穂高温泉(11:00)→高山(13:30) ⇒名古屋

<山行記録>
12月27日(火) 晴れ
名古屋から車で移動。当初参加予定だった伊藤さんが車出しをしてくれた。
山口さん堀尾さんカツオさんと自分を乗せた伊藤さんカーが先に松川に到着し、V6を張って先に宴会を開始した。
伊藤さんは風邪気味?なのか体調が悪かったそうなのだが、お酒をどんどん飲んでいた。24時前に燕組が到着。ジャンエスをV6の隣に張った。
ここで寝る組と宴会組に分かれた。自分はすでに眠かったので寝る組のジャンエスへ。人数多いため寒くなく、快適な前泊だった。V6の宴会組は3時過ぎまで飲んでいたそうな。

12月28日(水) 晴れ
朝5:00に起床。5:30には宮城ゲートに着き、6:00から行動開始できそうだったが、脩平さんの乗るかえるさんカーが道に迷い多少遅れる。
僕たちを乗せてきてくれた伊藤さんは10時から仕事があるそうで、一人名古屋に。ハードスケジュールだ。東鎌尾根組は6:30から歩き始める。
中房温泉まではひたすら林道。疲れることはないがとにかく長い。雪は積もっているが、深くなく、足首ほど。車や人のトレースだらけだった。
出発から3時間半後に中房温泉に到着。川で水をテルモスに補充。

中房温泉からは通常の登山道。脩平さんを先頭にダブルストックで夏道を登る。
雪の深さはひざ下から場所によってはひざ上まであったが、登山道にはしっかりトレースがついており高速道路状態。
夏のコースタイムより早く合戦小屋に到着した。合戦小屋横にはすでに整地されたところがあり、僕たち東鎌尾根組はあっという間にテントを設営した。
僕たちが到着した1時間後ぐらいに燕組が到着。ふかふかの雪(腰ぐらいまで沈む)を整地し、大きいジャンエスを設営していた。
その間に僕たちは今晩と明日の朝用の水(約8L)を確保するためひたすら雪を溶かす。所要時間約1時間。
その間にいつの間にか16時を過ぎており気象情報を聞き逃してしまった。fmが入ったので、その天気予報を聞いて、明日はそんなに良くないことがわかった。

今日の夕食は1日目なので豪華にみそ鍋。野菜キノコと鳥、豚それぞれ一人100gずつで締めにラーメン一人一玉を食べたのだが、皆お腹いっぱいではないよう。
途中から隣の燕組のジャンエスに乱入。ちょうど夕食が始まっていた。燕組の方々は快く僕たちを迎えてくれて、すきやきとお酒をふるまってくれた。
山口さんは容赦なく食べていた。宴会は21時過ぎまで続き、お開きのときに余ったつまみと酒をいただいた。燕組の方々本当にありがとうございました。

12月29日(木) 曇りのち雪
朝4:30に起床。テントを撤収し、6:00の暗いうちからヘッテンを着けて合戦小屋を出発。燕山荘までは雪はひざ上くらい。
ここもトレースがしっかりしていたので夏のコースタイムより短い1時間強で到着。
燕山荘からはアイゼンを装着。日が出ている時間だったが、ガスっていたため視界不良。視界は30~50mくらいで、悪いときは20m以下のときもあった。
稜線上は雪は少なめ、雪質硬く、アイゼンがよく効いた。トレースはあったが進行方向へのトレースなのかどうかよくわからなかった。

昼が近づくにつれ、一瞬雲の切れ目から青空が見えることが何度かあったが、晴れることはなく、風はむしろ強くなっていった。
燕→大天井の最後のコルで大天荘と大天井ヒュッテの分岐があり、リーダーのYさんがそこでその日は大天荘に泊まる事を決定。
大天井岳の山頂を目指してその日最後の登りを始めた。その辺りから風がさらに強くなった。歩けないほどではなかったので、風速20~30m/秒くらい。
雪も降り始めた。斜面も角度が急になり歩きにくくなったので体力がかなり持っていかれた。

なんとか山頂に着き、山頂すぐそばの大天荘の冬季小屋でテントを設営。大天荘の冬季小屋は広い。ここでも水つくりに1時間ほど費やしてから夕食。
今晩はジフィーズ+焼きビーフン。夕食前に燕組から頂いた丸大ハムと梅酒もおいしく頂いていたのでお腹いっぱいになる。
早く着いていたので夜は長く、ローソクを針金で吊るして明りを作り、ラジオを聞きながらまったり過ごした。

12月30日(金) 曇りのち晴れ
朝5:30に起床。稜線を下るので、辺りが明るくなった7:00から行動を開始した。大天井ヒュッテまではトレースはなかったが、雪少なく特に問題なし。
3日目は風が強いのと大天井ヒュッテに冬季小屋があるか確信が持てなかったので大天荘に泊まったが、大天井ヒュッテには冬季小屋がちゃんとあった。

大天井ヒュッテから本格的なラッセルが始まった。雪の深さはひざ上~腰くらい。基本は脩平さんと堀尾さんが交代でし、自分がほんの少し、山口さんが全員が遅れ始めた時に大幅にしてくれた。せっぴが出て、危険な感じの雪稜は少なかったが、確信の赤岩周辺のナイフリッジでは体を斜面に向けてキックステップをしながらのトラバースを行ったり、山口さんが先行した先でロープを出して確保を取り、それに自分をつなげてクリアしなければならない箇所が一箇所だけあった。
天気はずっと晴れで風もほとんどなく、ラッセルをしない自分はあまり疲れることがなくお客さん状態だった。
西岳ヒュッテには15時前に到着。予定のコースタイム(大天井ヒュッテから5時間)よりはかなりかかってしまった。
自分と堀尾さんが冬季小屋?入り口の大量の雪を撤去している間に、脩平さんと山口さんは翌日の水俣乗越までの下りを偵察&トレースずけに行ってくれた。
西岳ヒュッテの冬季小屋?はかなり狭く、エアライズ3がギリギリ張れるくらいだった。脩平さんたちが帰ってきてから雪を溶かし夕食に。
この日はジフィーズとマーボー春雨。お腹いっぱいになる。この日は早めに就寝。

12月31日(土) 晴れ
 朝4:30に起床。6:00に出発。前日に作成したトレースがあるため下りはスルスルと進んだ。
稜線まではヒュッテからのトラバースで、途中2回ほど雪崩れそうなところを一人ずつトラバース(西岳南面のヒュッテから10分くらい歩いたところ。大体標高2650mくらい)。
稜線を少し下がった辺りの谷上になったところから一気に下った。

 西岳から下った所で休憩を挟んでから登りを開始した。そこまでは脩平さんが一人でラッセルしていたが、そこからは脩平さん堀尾さんと自分(安全で簡単なところのみ)で交代ラッセルし、難しいところを山口さんがラッセルした。2回ほどピークを越えたところで水俣乗越に到着。
東鎌尾根は雪がしっかり積もっていてセッピが上高地側に出ていた。ラッセルはひざ上ラッセル~腰ラッセルくらい。
ルーファイ難なところや角度が急な難所は山口さんがラッセルしてくれた。

 そこから更に2~3ピーク登ったところで当初予定していた懸垂下降のポイントに到着した。
休憩を入れたが結局ザイルは出さず、設置された梯子を使って下降した。
更に2ピーク登ったところからは雪質が硬くなり、ラッセルする必要がなくなった。
そこから2ピークほどでヒュッテ大槍に到着。そこから1時間ほどで槍ヶ岳山荘に到着した。
西岳から7時間半かかった。山頂には槍ヶ岳にアタックしている人、小屋にいる人と自分たちを合わせて20人近くがいた。

 いったん荷物を槍ヶ岳山荘の冬季小屋に置いて、空身で(脩平さんは下降時のザイルも持って)槍ヶ岳にアタックした。
登りは特に問題なし。山頂では冬の北アルプスのすばらしい景色を堪能した。下りでは結局ザイルは出さず、Yさんに見てもらいながら下降。
少し時間がかかってしまった。

 小屋に帰ってから、山口さんが翌日の天候を慮って下山を決定。15時を過ぎていたが大喰を目指して行動を開始。
トレースがしっかりついていたのでルートは問題なし。大喰山頂までは問題なくするすると進めたが、山頂からの西尾根下りで自分が何度も滑り、下山スピードが落ちてしまった。
日が暮れたところで西尾根途中の宝の木T.S.でテントを設営。雪を溶かしているあたりから堀尾さんの体調が悪くなり、1度嘔吐した。
体もだるいみたいだが、標高的には高山病は考えにくいので、疲れからくる感冒様症状だろうか。とりあえず安静にしてもらう。
雪を溶かしてから夕食となったが、今度は脩平さんが体調不良に。とりあえず夕食のジフィーズと年越しそばを時間をかけながら食べてもらった。
しばらくじっとしていると堀尾さんも脩平さんも復調した。電波が入らないのか、電池の残量が足りないのか、なぜかラジオが使用できず、残念ながら紅白聞けず。
明日の話や脩平さんの恋話をしつつ年越しをした。

1月1日(日) 曇り
 5:30起床。7:00出発。アイゼンをつけずにひたすら下山。4時間で下山完了。

<全体を通して>
 今回の自分の立場は「お客さん」に尽きたと思う。荷物は軽く、ラッセルもあまり頑張れなかった。
役に立ったのは食料ぐらいだろう。個人的には自分1人では絶対来られないだろうルートだったのでとてもいい経験になったと思うが、次からはもう少しパーティーに役立てるよう頑張りたいと思う。