春山合宿報告書(ボスver)

<日程> 2010年5月3日~5月9日
<山域> 北アルプス 霞沢~蝶ヶ岳~常念岳
<メンバー> 山口、山城

5月3日(月)
昨日、小窓尾根から帰ってきたばかりだが、今日から合宿後半が始まる。
名古屋集合場所の山城邸に到着すると、山城さんの妹夫婦も一緒に表へ出てきた。
妹は、山城さんの雰囲気とは違い、どこか清楚な感じがして眼鏡がとても良く似合っていた。
山城号と山口号の2台で沢渡へ向かう。
新車である山城号のフィットはうちの車と違って、途中でCDの演奏も途切れる事もなく、内装も綺麗で使い勝手が良い。
ほぼ予定通りに沢渡へ到着し、河童橋で鈴木さんと合流し、小梨平へ。
早速、テントを設営し焚き火用の薪を拾い、晩御飯&飲み会へと突入。
GWの中日なのにテントの数が少ないような気がした。不景気のせいだろうか・・・。

5月4日(火)
登山の出発日の起床として遅いが今日の行程はそれほど長くないのでたまにはいいだろう。
昨日の焚き火の火種がちょっと残っていたので、朝も焚き火をしてしまい出発が一段と遅くなる。
山城さんは、合宿メンバーなのでうちの嫁さんよりは当然荷物が重く、一人では立ち上がれなかった。
明神で少し休憩をし、徳本峠の沢に入って橋を渡る手前でスパッツを装着する。
その先から峠までは沢をひたすら登るだけである。
当然の如く、合宿初参加で今まで担いだことのない重量のザックを背負っている山城さんは遅れる。
30分に1回の割りありぐらいで休憩をしながらのろのろ進む。

徳本峠小屋よりも少し霞沢よりの峠に到達し、そこから今日の目的地であるジャンクションピークが見える。
ジャンクションピーク手前の急になる斜面手前でアイゼンをはめ、ところどころ氷化したトレースを辿る。
峠をジャンクションピークの間の稜線にテントが二張りあり、ここからアタックする人もいるんだな~と。
ジャンクションピークまではちょっとえらいけど、眺めは良いし開けているしテン場として最高である。
遅れに遅れ、ヘロヘロになっている山城さんだったが、ちょっと休憩の後にテント設営の準備や雪のブロック作り、水作り用の雪集めと動いていた。
ちょっとはできる新人さんである、本人曰く「新人はやることが多く、大変だから早く新人を卒業したい」と。
まだ当分先の事と思うが。今回の食料は、合宿にして豪華で、ほぼ毎晩ウィンナーが食べられビールも盛りだくさん。食料係りに感謝である。

5月5日(水)
本日は、霞沢岳アタックの日で4時半出発。
嫁さんと鈴木さんは今日が下山日なのでゆっくりはしてられない。
7年前の同じ時期に入山した時よりも積雪の状態が悪く、新人にとっては歩きにくいだろうなと思うが、これも雪訓と思えば問題ないだろう。
しかし、霞沢岳のアタックリミット時間となりK1手前の本格的な登りとなる斜面で引き返す。
新人を連れて行くなら2泊3日が良いだろう。
あの当時、今回と同じ行程計画で一緒に行った純ちゃんはいま思うとすごいなと感心。
帰幕し、ウィンナーとコーヒーを飲んでから出発する。

峠で下山する二人を見送り、今日はまだ時間もある事だし先に進む。
ここ2、3日は気温が高めで雪面に足がずぼずぼはまり歩きにくい。
山城さんに休憩ごと、2万5千図で現在値の報告をさせる。まぁ8割ぐらい当たっていたかな。
テン場になるようなところはいたる所にあるのだが、区切りがいい大滝槍見台を宿泊地にした。
やぐらに登り、下山した二人が無事上高地下山した事を携帯で確認しビールを飲む。
今日からエアライズ3に二人となり、テント内は広々としていいのだが夜は若干寒い。

5月6日(木)
天気予報だと今日から悪くなるのだが快晴であり、気温も連日高い。擬似好天なのだろうか・・・。
今日の道のりはアップダウンを数回繰り返すと大滝山に到着する。
夏道は稜線をたまに外れる事もあり、我々の進路はほぼ稜線通しにした。
ここの稜線は広くて、ちょこちょこアップダウンがあり読図には最適のような気がする。
合宿中日で荷物が軽くなったとはいえ、ラッセルする僕の視界から山城さんが消える事が度々ある。
大滝山頂上は風が強いが暖かいためすがすがしい。

今日もまだ時間が早いのと天気もいいので蝶ヶ岳まで行くことにした。
森林限界を抜けてからは、登りは山城さんが先頭で、下りは僕が先を行く。
そのため、蝶ヶ岳ちょっと手前までトレースがないところは山城さんのラッセルもどきで進む。
蝶ヶ岳ヒュッテに到着し、テン場でテントを張ろうかと思うが風があまりにも強いので蝶槍の方に少し進み、稜線鞍部にテントを張ることにした。
風向きは南の方角からで、鞍部とはいえ無風の場所はなく、雪のブロックを積んでからテントを張る。
山城さんも手伝ってくれたが7000mぐらいでの作業かのようにフラフラとしていた。
三方向に囲まれた素晴らしい壁が完成したが、翌日は無残な姿になることを、今は知る由もない。
雪山山行で最上の雪ブッロクの写真を撮ってないことが今回の合宿での一番の心残りだった。
今日でビールは消化してしまったが近くに小屋あるが心強い。
しかしながら、タバコが少なくなり下山した鈴木さんに少しもらっておけばと後悔。
新人との山行は、いつも以上に持つ必要がある事を勉強した。
4時の天気図を書き終え、朝鮮半島付近に低気圧あり、やはり今日は擬似好天であった。

5月7日(金)
今日は朝から、雨と風が強く自分の方だけ浸水が酷い。
コッヘルで水をかき出すがすぐに水がたまるので、たるんだ外張りを張りなおす。
山城側は天国で時折そちら側へと避難する。
テントの中で佇んでいると濡れるだけなのでシュラフに入り、うとうとしながら4時ぐらいに目を覚ますと嵐は過ぎ去り、時折太陽が見えるではないか!明日からはまた天気が良くなりそうだ。
今日の晩飯は棒ラーメンだがマルタイでもちょっと高級棒ラーメンでとても美味しい。
きっと、下界でも美味しいはずである。

5月8日(土))
昨晩から気温がぐっと下がり、低気圧通過と共に寒気が流れてきたようである。出発時からカッパを着る。
雪面はクラストしてアイゼンが気持ちよく刺さる。
今日は、常念往復で距離とアップダウンは今回の合宿で最長最多であるが、アタック装備なので問題ないだろう。

常念岳までの登り斜面は全く雪がなく、コースタイムぐらいで到着。
頂上には我々だけであり、はるか彼方に剣岳が見える。
他の山を見渡しても、登山者の数が数える程でGWが終わったんだなと実感するが、こちらはまだまだGW中である。
10分ほどでピークを後にし、下りの斜面で山城さんにストックの使い方を伝授しながら進む。
大概の人がそうだけど、下りのストックの長さがみんな短すぎる。
ストックの効果を十二分に発揮してない、ただの荷物になっているだけではまだない方がましである。
この時期の常念~蝶の稜線の樹林帯は雪が積雪のおかげで、夏と比べて非常に歩きやすいし、尻セードができるところも満載である。
テン場に帰り、山城さんが小屋に行くというのでビールを買ってきてもらう。
合宿最終日でも食料と燃料は豊富なので、思う存分心置きなく使った。

5月9日(日)
今日は、下山のみ。長塀尾根は長いけど、積雪期はとても歩きやすかった。
しかし、新人山城さんにとっては1000m以上も下るような長い下山はつらいようで、徳沢に遅れて到着した時はぐったりしていた。
僕は、徳沢でタバコを買い今日初めての一服でご満悦。
上高地まではノンストップ(僕は山城さん待ちで明神で一服)で進み、バスターミナルに着くとすぐに出発する定期バスがあったので乗り込む。
乗車前に、山城さんは、牛乳を買えて喜んでいた。

今回の新人GW合宿は縦走形式とし、ちょっと大変かなと思ったが、へこたれず頼もしい新人のおかげでほぼ消化できた。
1年後が楽しみである。