春山合宿報告書

<日程> 2010年4月29日~5月 2日
<山域> 北アルプス 剣岳 小窓尾根
<メンバー> 山口、伊藤、佐々木、鈴木
<記録> 佐々木

<行動記録>
4月28日(水)
(移動日)名古屋(20:50)⇒立山IC( 0:00)⇒馬場島(0:40)

渋滞もなく順調に車を走らせる。 
立山IC手前の流杉PAで25分時間調整し、日付が変わりETC割引が適用されてから立山ICを降りる。

4月29日(木) 雨後曇り
馬場島(10:10)→雷岩(12:05)→尾根筋(13:00)→1614mT.S(13:40)

本日は急ぎの行程でもないため、雨が止むのを待って10時10分、馬場島を出発。 
取水口で左岸に渡渉。 水量少なく飛石で渡ることができた。 
沢は雪で埋まっており、シュルントを避けながらも沢どおしで歩ける。 
沢どおしで遡行できない場合の巻き道が望めたが、微妙なトラバースを強いられそうであまり使いたくないルートだ。 
タカノスワリ手前で小熊を目撃。 雪の斜面を登って行ったが、きっとその上から親熊がわれわれを見ていたのだろう。 
雷岩からは、尾根へと続く雪壁を急登。 尾根に出てからは緩やかな登りになる。 
特に難所もなく1614mピークに達する。 少々早いが、ここで幕営とする。 
幕営地からは、小窓尾根上部~剣尾根の迫力ある景色が見えるはずだが、本日は今一の天気でガスっており、景色が拝めない。 
天気図の気圧配置も微妙で、天気予報のとおり明日は晴れる、という確信を持てない。

4月30日(金) 曇り後ガス
1614mT.S.(3:40~5:05)→1990mピーク(6:10)→ドーム(10:10)→ マッチ箱(15:15)→2630mT.S.(15:35)

少々寝過してしまった。 曇空。 薄っすらと剣尾根が遠望できる。 
しばらくはダラダラとした登り。 1990mピークでハーネスを装着。 すぐに雪壁のクライムダウンとなる。 
下部では勾配が急なうえに氷化した雪のトラバースでいやらしい。 
その後、木登り混じりのクライミング。 
先行パーティがザイルを出した雪壁をノーザイルで通過しようとしたが、上部で急勾配の雪の下に氷化した部分があり、1ポイント、上から山口さんにザイルをたらしてもらう。

ニードル手前では岩のナイフリッジ。 乗馬スタイルで乗り越す。 
この頃にはガスっており、あまり視界がなく、高度感もなく、返って良かったかも、、、。 
ニードル基部から右斜め方向に5m程懸垂。
ドーム手前でルートが90°右に屈曲した箇所で、またまた岩のナイフリッジ。 大股開きを交えクリア。 
その先でいやらしい岩・雪壁と続き、ザイルを出す。 
終了点からは岩のナイフリッジの向こうに越えてきた尾根がガスの合間に見え隠れしている。 
晴れていれば画になっていただろうに、写真にはうまく写らなかった。 
風が特に強いわけでもないが、日が当らず、ザイル使用中とても寒い。 その後、緊張する雪壁トラバース等を抜けドーム頂上へ。 
視界無し。
マッチ箱手前で、またまた1ピッチザイルを出す。 急雪壁の下に氷のパターン。
雪の状態が悪く、思っていたようなスピードで進めない。 
時間切れとなり、小窓尾根の頭手前の小ピーク(2630m)で幕営となる。

5月 1日(土) ガス一時晴れ
2630mT.S.(4:00~5:35)→三ノ窓8:40→池ノ谷乗越9:45→剣岳12:00→早月小屋T.S.15:20

朝から視界不良。 小窓の頭がぼんやり見える。 視界が悪く進むべき方向がわかりづらい。 
雪壁の上部が岩上の薄い氷壁になっている所で、これを避け、岩尾根にルートをとる。 ザイル使用。 
岩場を抜けるとナイフリッジ。 慎重に一歩一歩進む。 後続パーティはノーザイルで氷壁ルートを登ってきた。 
パーティ全体の力があればこれが正解か。
小窓の王基部に懸垂支点があり、懸垂。 50m一杯。 ここから三ノ窓へトラバース。 このごろから青空が見え始める。 
ヒュー、思わず声が出る。 
雪の鎧を着たチンネ・新雪をたっぷりと乗せた池ノ谷ガリーがカッコいい。 
三ノ窓では、久しぶりにお日様を体中に浴び、しばしチンネ、後立山方面に見入る。 

充分に心身の英気を養った後、池ノ谷乗越目指し快適登攀。 
無雪期のザレザレの斜面と違い、登りやすい。 
池ノ谷乗越からは新雪をかぶったカッコいい八峰が見える。 トレースは無し。 
長次郎の頭付近では、すごいナイフリッジ。 とても立っては渡れない。 慎重に側面をトラバース。 
長次郎谷左俣のコルで、急な雪壁登りの順番待ちになる。 青空も隠れてしまい、寒い。 
またまたここも上部の急勾配部分が雪下カチコチ氷。

そろそろ頂上かと思いながら、ゆるやかなアップダウンを繰り返すと早月尾根と別山尾根の分岐の道標に出てしまった。 
アララ頂上通過シチマッタ。 そのまま早月尾根へのルンゼを下る。 
視界がきかず、どのルンゼに進むか2パーティが思案。 懸垂支点の位置からすると右かなと思うが、、、。 
山口さんが右側のルンゼを試しに下って確認、OK。 クライムダウン。 
早月小屋までに、ダブルロープによる懸垂を2回実施。 
2600m地点にある早月尾根偵察時にロープを出した箇所は、雪が安定してきており、今回はクライムダウン。 
その後もクライムダウン箇所があるものの難易度は落ち、早月小屋へ。 安全地帯。 

テント設営後、宴会モード突入。 山口・伊籐両氏の飲食いの量が半端じゃない。 
ビール500ml4本+ウイスキー+梅酒+日本酒+ライス2人前+α。 食う奴は強いとばかりにハジケテいく。 
佐々木、なぜか寒い、ウーン体調悪い~。 鈴木、ウ~ン吐きそ~。 その後、本当に、、、。 
緊張からの解放感、目標を達成した充実感。 心地よく夜が更けてゆく。

5月 2日(日) 晴
早月小屋T.S.(4:30~6:30)→馬場島8:30

ゆっくり起きてゆっくり準備。 難所の無い本日は皮肉にも快晴。 
シリセードを多用してビュンビュン飛ばす。 松尾平からは尾根道を避け、右にそれて白萩川沿の林道へ出る。 馬場島まで2時間。
駐車場でテント他の装備を乾かし、風呂・食事をすませ、大した渋滞もなく名古屋へ。


佐々木は雪の剣を10日程前の早月尾根偵察時と今回しか知らない。 
が、本山行は困難な条件下のものであったと思う。 
視界がきかずルートを定めづらい・固く氷化した雪の上に新雪が乗った急雪壁・低温。 
条件のいい時にしか山に入っていない佐々木には、冬山に近く感じられた。 
当然、インターネット等の情報とも大きく違った。 今までの山行が恵まれすぎていたとも言える。 テント生活技術も含め大いに得るものがあった。
佐々木は、どうも風邪からお腹にきたようで、帰りの車で休憩のたびに下痢ピー。 付け焼刃のおじさんは基礎体力不足。