冬山合宿報告書 その1
<日程> 2009/12/12~13
<山域> 南アルプス 易老渡~易老岳~光岳~聖岳~聖光小屋
<メンバー> 山口、山田、鈴木(南山AC)、小阪(京都府立医科大山岳部)
12/20(日) 曇り 駐車場6:40易老岳12:00三吉平手前14:00
駐車場一面に降り積もった雪の上に、昨晩設営したテントの中で朝飯をとりながら出発準備をする。
先発隊は額にラテを灯しながら先に出発していった、トレースよろしくと秘かに思って。
出発直前、小阪君のアイゼンが見当たらず、日帰り光岳先発隊の誰かに借りる事とした。
僕は、11月の約一ヶ月間の海外出張でほとんど山に行ってなく、3週間分の食料と登攀具で膨らんだおおよそ30kgのザックを背負うのはさすがにしんどい。ましてや、他3人は20代で僕よりも10歳以上若く皆についていくのに一苦労。
休憩を交えながら易老岳に到着。雪の深さは60cmぐらいだろう。
先発隊のトレースが光岳方向に続いておりまだ追いつかない、さすがにスピードが違いすぎる。
ここにいらない食料や登攀具などをデポし光岳に向かう。
三吉平手前でトレースがなくなり、先発隊とどこかですれ違ったしまった。小阪君のアイゼンを借りる事ができなくなり結局そのまま進む事にする。この事が後々合宿の行程に響いてしまうのは、今は知る由もない。
トレースがなくなってから、荷物が軽いとはいえ深いとこで太腿までもぐる雪に苦労し、明るいうち光小屋に着かないと判断して三吉平手前の樹林帯の風がないところでテントを張る。ふかふかの雪で整地にも苦労する。エ
アライズ3に4人でも余分な荷物をテント内に入れなければそんなに狭くもなく夜も暖かかった。
昨晩の睡眠不足もあって7時前のNHK天気予報を聞いてシュラフに入る。
12/21(月) 晴れ~強風 T.S.6:15光岳10:20T.S.11:50易老岳14:00
昨日の夜からしんしんと雪が降ったせいで、朝起きたときは。テント内も少し狭くなっていた。
しかし、今は雪もやみ青空が見えてきたが風は昨日よりも強い。
4人で交替しながらラッセルをして光小屋に到着。風のない小屋に入りほっと息をつく。
ここは本当に立派な小屋で部屋から堂々とした聖岳が正面に見える。酒と豊富な食料があるなら一週間ぐらいいてもいいかなと思ってしまう。
長がめの休憩後、光岳に向かう。途中わかりにくい樹林帯の中を進みなんなく到着。合宿の初ピークで写真を撮りテン場に戻る。
トレースがあるため行きの半分以下の時間で到着し、荷物をまとめて易老岳へ向かう。
既に、行程が少し遅れていたので少しでも進みたいとこである。
昨日つけた易老岳までのトレースは、昨日の降雪と強風のため9割ぐらいなくなって、非常に残念であった。
易老岳に着いたのが14時で16時の天気図もとりたかったので、今日の幕営地はこことする。
今回の晩飯は、α米を使ったメニューのため、長期合宿恒例の毎食ラーメンよりは飽きがなく、食料係の山田君に感謝。
12/22(火) 晴れ後曇り 易老岳6:50希望峰11:15茶臼岳14:10茶臼岳避難小屋15:20
今日も朝から天気がいいが茶臼岳の稜線にガスがだんだんかかってきた。
希望峰までは樹林帯の中で風がほとんどなく、ワカンをはいて膝以上もぐる雪のラッセルをちょっと頑張れば快適であった。
少し風のある希望峰に到着し、見るからに風が強そうな茶臼岳に向かうため防寒対策をしっかりしてから出発をする。
予想を裏切らない風に、稜線を歩くのが非常に困難で飛ばされそうであった。
このままでは歩行ペースもあがらないため、稜線の右側(静岡県側)に移り、雪は深いけど比較的風が穏やかな場所を選んで進む事とする。
希望峰から3時間以上かかり茶臼岳に到着。ガスの中、記念写真を撮り今日の宿泊場所の茶臼小屋に向かう。
稜線から150m程下るが快適な小屋に勝るものはない。
小屋に到着するが小屋の扉のレール部分が凍っていて、格闘すること約2時間後、ヘブンズドアーが開いた。
外は未だに風が止むこともなく、明日の行程に不安をよぎる。
12/23(水) 風雪 停滞
昨日の風と強さは同じぐらいだけど、いつも通りの時間に起床し出発準備を整え、取り敢えず稜線までいくこととした。
稜線では風が止んでいることを願っていたが期待は脆くも消え、ここから先は広い稜線であまり風除けの場所も少ないため小屋に引き返し、今日は停滞日をする。
結局、夕方まで風も止まず、視界も相変わらず良くないため停滞した判断は正解だった事にニンマリ。
12/24(木) 晴 茶臼岳避難小屋6:30上河内岳9:00聖平小屋12:30
本日、合宿初めての一番良い天気で風も穏やか。これぞ冬山登山日和というものだ。
昨日と打って変わって、快適な稜線歩きである。
上河内岳までの夏道は稜線から外れるところも多いため、我々の採用するルートは忠実に稜線を選び、ロスが少ないようにした。
夏のコースタイムと同じ時間ぐらいで上河内岳に到着。ここから今日泊まる聖平小屋が樹林帯の中にぽつんとあるのを確認できる。
今日の行程は短いため、ゆっくりと山を見、読図の勉強もしながら順調に足を延ばす。
お昼過ぎに小屋に着き、まだ日のある内に湿ってきたシュラフなど各自乾燥大会が始まる。
鈴木が小指の足先の感覚がないとの事で、お湯を作りプラティパスに入れ足先を暖める。
だんだん感覚が戻り、足先がじんじんしてきたよだ。指先は黒くなってはないが凍傷の一歩手前である。どうやらワカンの紐をきつく締めすげていたようだった。あたりが暗くなってからしばらくして単独の登山者が小屋に入ってきた。天気予報では、明日も良いらしい。
12/25(金) 晴 聖平小屋6:50聖岳12:10聖平小屋
今日も昨日に引き続き天気が良い。単独の人が一足早く小屋を出発し、我々はしばらくしてから出発した。
易老渡へ向かう下山道の合流点手前で先行していた単独者とラッセルを交替する。
合流点後より先は最近のトレースがあり助かったけど途中からなくなってしまい、また皆でラッセルを交替しながら進む。
雪がフカフカでなかなか思うように進まない。
小聖岳手前で稜線に出て歩きやすい雪面となった。小聖岳でアイゼンを装着する、小坂君には僕のアイゼンを貸し、自分一人だけアイゼン無しで聖岳に向かう。ここからは足首ぐらいのラッセルだけど所々雪が飛んでいるとこもあり、また斜面がクラストしてアイゼンが良く決まる斜面も出てきた。
いよいよ、最後の広い斜面の登りとなったところで、クラストした斜面が多くなり、アイゼン未装着の最後尾である僕が遅れてしまう。
しっかりと足を雪面に蹴り込まないとこの重荷では滑落の危険がある。
頂上200m手前ぐらいで利と相談し、アイゼンが無い状態では危険なため、この先の行程の継続を中止とする。
しかしながら、何とか合宿を続けたいと思い、明日三伏峠から入山の青山にアイゼンを易老渡の駐車場に届けて貰えないかと携帯で連絡するがここの場所では圏外であった。
僕以外の3人で聖岳まで往復してもらい、頂上で利に再度連絡をしてもらうようにお願いした。
無事3人が戻ってきて、青山と連絡が取れアイゼンを届けてもらえるとの事。
これで、まだ合宿が続けられる事となった。明日、アイゼンを忘れた張本人である小坂君に駐車場まで取りに行ってもらう。
昨日と同じ宿泊地に戻り、再度小屋にテントを張る。一息ついた後、鈴木に足先の状態を確認したところ、今日は反対の小指もあまり感覚がないとの事で、水筒にお湯を入れ暖めてもらう。前日の凍傷気味の足の症状は悪化してないものの、今日は反対の足も同じ症状になり、この先途中でエスケープできるのは5日後の三伏峠となるため、明日全員で下山する事に決定した。
合宿全行程の半分も消化していないけど、しょうがない。途中で、動けなくなってしまう方が恐いし、また再度挑戦すればいいだけだから。下山を決めてから、みんな豊富なレーションを食べまくる。久しぶりにお腹いっぱいになり、夜遅くまで起きていた。
12/26(土) 雪後曇り 聖平小屋7:00聖光小屋10:30
昨日と打って変わって、朝から雪が降っていて、昨日のトレースは完全になくなっていた。
稜線から易老渡の下山道へ進み、樹林帯に入るとトレースが残っていた。
今日は、下山だけだから休憩も長くとりぶらぶらと下山。林道まであと30分ぐらいのところで、山口が転倒し、足首を捻挫してしまった。
捻った時に、自分でもグキッと音がしたぐらいだったのでかなり重症だな~と。
利にストックを借りて下山を続けたが、足首はだんだん腫れみんなから置いてきぼりになってしまう。
聖光小屋にかなり遅れて到着し、小屋の人にタクシーを読んでもらった。
一昨年は、ここからさらにだいぶ歩いたけど、今はそんな元気がない。
久しぶりに山で怪我をしてしまい、日頃山に行っていない事をつくづく実感した。
南アルプス全山縦走計画は今回で3回目だけど、なかなか成功しない。次回こそ、成功させたいものである。
記)山口