冬山合宿報告書 その2
<日程> 2009/12/26~27
<山域> 南アルプス 三伏峠~小河内岳~三伏峠
<メンバー> 水戸
12/26 晴れ、微風
6:30 上小田井駅⇒8:40 塩川ゲート 9:15⇒16:00三伏峠冬季小屋
12/27 晴れ、時々風
6:50三伏峠冬季小屋⇒9:00烏帽子岳⇒11:35小河内岳11:47⇒13:40烏帽子岳⇒14:35三伏峠冬季小屋15:08
⇒16:08 5/10地点⇒17:15 2/10地点⇒17:58塩川小屋⇒18:30ゲート駐車場
年末年始は冬将軍がやってくるので、暖かいところでクライミングでもするか、スキーをするかな、と思っていた。そんな折、シゲさんが新人の山城さんをどこか合宿で行くところへ連れて行かなくてはと、画策していた。
たまたまMTGに来ていたカツオさんが、三伏峠から烏帽子岳ピストンをアドバイス。
カツオさんも相変わらず単独で荒川岳へ入るとのこと。入山、アタック日にカツオさんがいるのは心強い。
では、私も行ってみようかな。三伏から塩見岳へアタックしたいな、と第1段階のラフ案であった。
その後、BOSSへ概要を伝えたところ、私の塩見岳は却下された。理由は遠いから1泊2日では無理がある、とのこと。
なるほど、ごもっともです。安全率が低すぎますね。
ということで、シゲさん・山城さん三人で初級冬山入門ということで小河内岳を目指すことになった。
地図で見る小河内岳は三伏峠小屋から2時間半くらいの行程。
冬の記録をwebで検索したら、カツオさんの記録が出てきた。
深い雪にラッセルを強いられ、距離が伸びない。今年、この時期としては雪が多い。
まぁ、カツオさんのトレースでのんびり行けるところまで行けばいいや、と軽い気持ちでいた。
ところが、シゲさんの捻挫、山城さんの仕事で二人ともキャンセル。
えっ、単独になっちゃった??
でも、ほとんどカツオさんと同じ行程で一緒だから不安はないし、雪山を楽しもう!
一週間前には、南アルプス全山縦走するBOSS隊4名を先行して、ゴンタさん・ケロさん・カツオさんと4人で易老渡から光岳を目指した。
結果、易老岳から2時間のところでタイムアップでしたが、終日降雪の中、ラッセルでトレースをつける姿はかっこ良かった。
ほんの数メートル膝上ラッセルをしたが、何もないところに道をつけるのは、なんとも言い難い。
ラッセルもできたら交代してやってみようと、モチベーションも徐々に上がってきた。
というわけで、エアライズ3、ホワイトガソリン、コッヘル大・中、キムチ鍋の具材(白菜1/4、舞茸、絹ごし豆腐、しらたき、ネギ)等を担ぐ。
肉400g、エビ、そのまま鍋の元<濃縮があった方が良かった。>、恵比寿麦酒350ml・6本はカツオさんにお願いする。
(大変助かりました、ありがとうございました!)
塩川ゲートから塩川小屋まで林道2km・45分の歩きは、しんどい。昨年までは車で入れたそうだ。
塩川の左岸、右岸、河原歩きと数回の徒渉後、尾根に取り付く。高低差1100m、ここからが長い、長い、長―い!
二つ玉低気圧は通過してしまい、無風快晴となった。樹林帯では汗だく。明日も天気はいいはず。
地形図通り顕著な尾根で、両側が切り落ちており、高度を稼ぐ。
右の尾根線が近づき、左からも尾根線が緩やかになって2100m辺り。
あと500mと、重荷に気持ちが折れそうなので渇を入れる。
カツオさんからすぐ遅れるようになり、辛くなってきた。後ろから単独の高所靴の方が上がってきた。
「長いですねぇ。」とおっしゃり抜かされる。辛いのは自分だけではない、頑張ろう。
豊山口分岐からが我慢のしどころ。九十九折れのさらに長いこと長いこと。
そういえば、こんなんだったなぁ、と夏に訪れた時を思い出しながら、雪でふらつく足元をバランス取りながら一歩一歩踏みしめる。
ようやく、緑の小屋が見えた。三伏峠小屋だ!カツオさんは冬季小屋の屋根から雪を集めていた。お疲れさま!
冬季開放されているトイレまでのトレースも付けてくださった。ありがとうございました。
暗いが十分快適な冬季小屋に3テンを張る。他に仙丈ケ岳まで行かれるという単独男性のテントは奥の部屋に張られた。
張りながら、恵比寿で乾杯!う~ん美味しい~。
1本あれば十分だけれど、キムチ鍋も美味しいし、ビールは6本もあるし、伊藤隊は先に駒を進めていないし、BOSS隊はまだまだここまでこれないし、ということでカツオさんと3本づつ呑んでしまう。
さて、MSRで火をつけて、恒例の水作りから始まる。
今回は新しいロートを持参。茶こしもあるが、それほど雪は汚れていない。
屋根の雪だからかな。ビールを飲んでいるが、行動終了時の紅茶もいただく。
NHKラジオでは紅白の前哨番組なのか、往年の昭和歌謡が流れている。
とりとめのない話をしながら、20頃就寝。
5時起床。夜半0時頃、外に出たが外気温はそれほど下がってなかったが、朝方は冷え込んでいる。キムチ鍋の残りでうどんと500mlの紅茶。
なかなか食が進まず撤収する時間が遅くなった。
単独行の方から燃料を分けて欲しいとの申し出を快諾し、ほとんど使っていないプリムスを400円で譲り、小屋使用料として寄付。
結局、アイゼン・わかん装着して、6:50出発となった。
塩見へは伊藤隊がつけたトレースが残っている。冬季小屋を出て、数メートル歩き樹林の間を右(東南)に進む。方角が一瞬分からなくなった。
崩壊した西面を見て、ようやく位置関係を把握。
雪は足首・膝・場所によっては腰まで潜る。ルート取りのアドバイスをもらいながらラッセルする。
何度も、「どのルートを描いてますか?」と聞かれながら軌道修正する。ラッセルするのに必死でルートがうまく取れていない。
雪にイラつきながら、ここは冷静に膝で固めて乗る。また、崩れる。ぜんぜん固まらないが乗る、を繰り返す。
体力あれば、もっと上手に早く抜けられるんだろう。
ラッセルを交代し、烏帽子岳を仰ぐが遠く感じる。それにしても、二番手はなんて楽なんだろう。今更ながら、ラッセルの大変さを感じる。
ピッチは遅く進まないが、交代を繰り返す。私は今日、下山出来ないのではないだろうか?あがる息の中、体力に不安を覚える。
烏帽子岳が小河内岳だったらいいのに。真剣にそう思った。夏道45分が2時間ですよ!2時間!
でも、アタックリミットまで十分時間があるから、行けるでしょうとカツオさん。
うーん、私はここでも良いのですが・・・。烏帽子岳は360度のパノラマ。こんなに富士山を近くに感じるなんて・・・綺麗すぎる。
左手に塩見岳を見ながら、快晴の中、誰も歩いていない稜線に足跡を付けている。
素晴らしいと感じてしまうから、ここにくるんだろうなぁ・・・。
最初、概念があやふやだったが、教えてもらいながら北岳・仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳までしっかり確認できた。
意外と仙丈ケ岳に雪がべったりついていた。
伊藤隊はどこまで進んでいるのだろう。塩見岳へ目を凝らしても、人の姿は分からなかった。
私たちも先へ進む。しかしタイムリミットまで歩いたら、本当に下山できなくなるのでは・・・と、また不安になる。
前河内岳への稜線ルート取りも、アドバイスをもらう。稜線歩きは本当に気持ちいいが、当然アップダウンが出てくる。
地形図で予測していても、何?前河内岳からなんでこんなに下降するの?クールダウンにはなるが・・・。
帰りの登り返しはきっときついだろうなぁ・・・。山頂に行けなくてもいいんですけど・・・。いやいや、最後まで頑張ろう。行ける、絶対行ける!などと気持ちを立て直しながら、既に山頂にいるカツオさんを目指して、一歩一歩近づく。
“top of the mountain”。あーもう登らなくていいんだぁ!やったー!!
小河内岳はロケーションが本当にいい。いい所だった。
カツオさんがこれから向かう難所を説明してくれる。あんな、ギザギザの雪ケンザンを越えなければならないのですか?
雪が不安定そうでロープが欲しいところ。単独ですごいな。BOSS隊が順調なら逆コースからトレースを付けてすれ違えるはずだったのでしょうか?・・・。お互い、差し入れが渡せなかったですね。(食べて、呑んでしまいました。)12時前、お互いの無事を祈りながら、それぞれの方角に進む。
前河内岳と烏帽子岳の登り返しはきつかったが、意外と早く登れた。
穏やかな天候で北アルプス、後立山が本当に綺麗で中島みゆきの“風にならないか”をつい歌ってしまった。
冬季小屋のデポ装備をパッキングしなおして、塩川に向けて下山。
1時間で半分まで下り、なんとか日没前に河原へ降りれそうで安堵する。
17時を回っての河原歩きは、肝試しそのもの。凍っている足場がふいにあらわれ、滑ってはならないと身構える。林道はもっと怖かったわぁ。
後ろが振り返れなかったし、スケートリンク並みのアイスバーンになっている橋の欄干をつかんで進む。
前泊されているテントの灯りを見た時は、心の底からホッとした。
帰路の路面はバリバリと凍結しており、真っ暗でスピードを出せず小渋ダムまで遠かったが、それ以外は問題なく恵那峡SAで遅い夕食を取り、自宅へ23:00着。
翌日、仕事納めのため出勤。
登山後、筋肉痛にはあまりならないが、今回はふくらはぎだけがひどく筋肉痛になった。
天候に恵まれ、思いのほか新しい発見があり、私には楽しい良い経験の雪山山行でした。