春山合宿報告書 その1
<山域>北アルプス 滝谷第4尾根(敗退)
<日程>2009/04/22~23
<メンバー>青山、山田
4/22(水) 13:00新穂高~出合小屋17:00
滝谷出合小屋まで。白出沢まではほぼ夏道同然。白出沢から滝谷出合までは時折膝ぐらいまでのラッセル気味。フル装備での林道歩きは苦痛そのもの。思えばこのアプローチにモチベーションを吸い取られたような?出合小屋の中は意外に綺麗だった。心霊現象がよく起こるらしく、「出たらどうする~?」とか話してたが二人とも思いっ切り爆睡した(笑)。
4/23(木) 5:00出発~8:00スノーコル~9:30撤退開始~10:45合流点~13:30出合~18:30新穂高
5:00出発。雄滝はスノーブリッジ状にかろうじて雪渓が繋がっており、巻かずに済んだ。とはいえ、乗った途端にスノーブリッジが崩れるかもしれないので一応ロープを出したが存外安定していた。滑滝は完全に埋まっていたので助かった。合流点周辺は一面に巨大なブロック状のデブリが堆積していた。改めて相当にヤバイ場所なんだと思った。滝谷上部はガスっていて地形判断が難しかったが、合流点まで一番に伸びてきているのが第四尾根なので、C沢を詰めるとスノーコルがあった。しばらくはⅡ級ぐらいの岩稜なのでロープは付けずにしばらく登ると、岩稜がフェースに吸い込まれて消えた。トポを見ると「大まかなフェースを右上(Ⅲ)」と書いてあったが、全然大まかじゃないよ廣川健太郎!
ここでロープを付けて青山リードで登攀開始。直前に「リングボルト1+ハーケン1」の懸垂支点(ツルム正面壁への懸垂支点?)があったことから「Cカンテ」と思われる。過日、山口さんに確認したところ、地震で崩壊してから確かに悪くなったとのこと。6級-はあったと思う。
ベルグラを壊さないようにフェースに取り付き、アングルハーケンと脆そうな下向きクラックにエイリアンで固め取りして、そのエイリアンにアブミをセットしていきなりのA2。最上段に立ってフィフィ。フレーク状の裏に左手フィストジャムして右足の前爪一本立ち。登り過ぎてアブミが回収不能に。手袋を口で脱いで右手カチ持ち。左手フィストジャムを抜いてアンダー持ちで左足ハイステップ。超怖い!ここでやっと効きの良い残置ハーケンがあってかなり際どいクリップ。「ロープ張って!」と本チャンらしからぬコールが滝谷に響く(笑)。ホールドもあるにはあるが、外傾していてアイゼンでは無理。ネイリングしようにもリス一つないのでここで敗退決定。あと4mぐらい登ればテラスに出そうだったが、諦めてローワーダウンしてもらった。ビレイしていた利は気が気でなかった様子。済まんかったね。敗退は往路をちょっと下って潅木でC沢側に2回懸垂。そこから第四尾根上に1ピッチのトラバースで戻って、また1ピッチ下降。ハイ松の幹でD沢に1回懸垂で完了。
敗退直後は「第四尾根末端付近でテント張って翌日再度試登」と話していたが、そのあと「取り敢えずB沢で稜線に抜けて、翌日クラック尾根登って下山」にトーンダウンし、仕舞いには「今日下山して明日はフリー!」という結論に達して下山開始。出合で残ったパスタ1200gを二人で全部食べて吐きそうになりながら下山した。
今後もし積雪期に第四尾根を登るなら、
① Cカンテは空身でリードして荷揚げ・・・・それでもかなり難しいと思います。
② Cカンテを避けてツルム正面壁を経由する・・・・懸垂支点が老朽化しているのでボルトキット必須。
③ スカイフックの架け替えのエイドで突破・・・・出来ると思います。
④ ドライツーリング技術を磨く・・・・そこまでしたくない。
⑤ 決死のトライ・・・・論外。
とはいえ、もうリベンジには行かないでしょう(笑)。仇討ちは山口さんにお願いします。