冬山合宿報告書 その1

<山域>南アルプス 塩川小屋~三伏峠~小河内岳~大日影山
<日程>2008/12/25~30
<メンバー>田村

12/25(木)雨 時々 曇

塩鹿に着いたら、雨。バス停近くで、食事しながら雨宿りしようと思ったけど、食事処は「準備中」・・・。
仕方ないので、雨の中、歩き出す。林道は、ダンプのオンパレード。こんなに工事が盛んだなんて、本当に不況なんだろうか?
途中、暗くなってきた時に「キャー!」!!!「痴漢!?」・・・ん?待てよ。鹿だ・・・
物凄く、鹿に驚かされ、慌ててヘッドランプを取り出す。すっかり暗くなってから、塩川小屋着。
避難小屋があるものの、トイレも無く、今にも崩れそうな、廃屋寸前の小屋。夜の間に、地震が起きませんように。。
川で水を汲み、夕食。
快適に寝ていたが、夜中過ぎに、金縛りに遭う。天井に変なシミがあるし、この小屋、大丈夫だろか・・・?

11:00 名古屋駅発(高速バス)
13:00/13:30  飯田駅(JR飯田線)
14:00/14:20  伊那大島駅(伊那バス)
15:15 塩鹿着
15:30 塩鹿を出発(徒歩)
17:30 塩川小屋(T.S.)
18:00 夕食
20:50 就寝


12/26(金)曇 時々 晴

1時間ほど寝坊。金縛りに遭ったし、仕方ないか・・・。今日は三伏峠までだし、まぁ大丈夫。
チャッチャと準備をし、歩き出す。雪は、小屋・尾根取付ともにくるぶし程度。(最初から最後までトレース皆無!)
その後、徐々に増えるも、ノンビリと快調に登る。豊山口分岐付近から、急激に雪が増加。ワカンを付けるのは面倒なので、
ツボ足ラッセル。膝上程度なので、全く問題なし。シャカシャカとラッセルしていると、小屋に到着。

その後、ちょっと偵察&トレース作り。意外にも、薄いトレースが烏帽子岳に向かっている!ラッキー!!
どこまで続いているか、分からんけど。
夕食は豪勢に「火の国 熊本ラーメン」。棒ラーメンなのに、美味い!一食50円也。失業者も食べれば良いのにな。
小屋に200円募金。一日一善。

6:45 起床、朝食
7:45 出発
9:15 尾根取付
13:00 豊口山分岐
13:30 三伏峠(T.S.)
14:00~14:30 翌日の偵察
17:15 夕食
20:30 就寝


12/27(土)晴

いよいよ、縦走開始。胸が高鳴る。歩き出してしばらく行くと、薄いトレースは無くなる。残念!
早速、アイゼン&ワカンを装着して、スピーディにラッセルをする。でも、烏帽子岳への登りは、ワカン付けてても
腰までもぐる!かなり深い雪に苦労し、烏帽子岳まで3時間かけて到着。(夏コースタイムは50分)
小河内岳への稜線は、表面のみクラストしている。ワカンで「そ~っ」と足を運び、モナカを踏み抜かないように注意して歩く。
小河内岳を過ぎると、樹林帯に入り、腰ラッセルが続く。稜線沿いはかなり厳しいので、夏道沿いに歩く。
何とか今日中に高山裏避難小屋に着きたいけど、なかなか進まず、ジリジリと時間が過ぎていく。
大日影山を過ぎ、日が傾くが、先を急ぐ。しかし・・・・・・板屋岳へ続く稜線が、かなり手強い雪の状態!
最初は稜線上を進むも、深いブッシュと深い新雪に、全く進めない。何とか小ピークを二つ越すも、
寝床が見つけられないので、仕方なく引き返すことに。引き返す途中で「カランカラン」と乾いた音がする。
何かな?と思うと・・・ワカンが壊れてる!(最も太い紐が、ぶち切れた・・・)かなり凹む。
結局、大日影山直下のコルまで戻り、テント泊。ワカンは、針金と細引で応急修理。再び切れないと良いな・・・

4:30 起床、朝食
6:00 出発
9:00 烏帽子岳
11:00 小河内岳
14:30 大日影山
16:00 板屋岳に向かう途中のコル
16:45 大日影山直下のコル(T.S.)
18:30 夕食
20:50 就寝


12/28(日)吹雪 のち 晴

朝起きると、ゴーゴーと風の音。いつも通り棒ラーメン食べてパッキングして、外を見てみると・・・猛吹雪。
視界も無い。慌てて、ラジオで天気予報確認。午後は良さそうだ。明日は二つ玉低気圧が直撃するらしいけど。。
少し風が落ち着き、視界も回復してきたので、出発。昨日行った場所までは、サクサクと進む。この先も
誰かラッセルしてくんないかな。
昨日と雪の状況は全く変わらず。むしろ吹雪により、悪化。稜線上は全く進めないし、雪の付き方が危険なので、
今日は夏道を選択。しかし、これまた厳しい。新雪1m以上の上に氷の層が20cm、さらにその上に、新雪が50cm以上。
ワカン付けても、胸ラッセル。特に真ん中の層が曲者。踏むと簡単に割れるてハマル。なので、南極観測船になった
気分で、手で割って進む事にしたけれど、割って踏んで踏んで踏んで・・・。2時間位、雪と格闘して、稼いだ距離は
小ピーク一つ。板屋岳が、全然近くならない・・・。このままでは、今日中に高山裏避難小屋着は不可能。
明日、天気が悪化したら、先に進むことも、後に戻る事も出来なくなり、下山できない可能性が高くなる・・・。
さんざん悩みに悩んで、撤退を決断。

昨日のT.S.まで、トレースに沿って下る。そこから先は、前夜に降った雪で、再びラッセル。
でも、薄く残るトレースのお陰で、比較的ラクに小河内岳直下まで進む。ここまでは快調。
あと少しで小屋だ!と思ったのも束の間。小河内への登りで、もの凄い強風に行く手を阻まれる。
あまりに風が強いので、ピッケル&アイゼンに変更。絶えず耐風姿勢を取りつつ、ほとんど4つんばいになって
ジリジリ高度を稼ぐ。こんなトコで吹き飛ばされたら、絶対に見つからないだろうな~~~。もし遭難しても、
捜索するなら、もっと難しいトコとか、迷いやすい場所を探すだろうから・・・。なんて事を考えると、
自然に体が緊張し、慎重になる。強風もさる事ながら、ここも、手強いモナカ雪。ワカンを外したので、
ガンガン踏み抜く。ヘトヘトになって、小河内岳山頂到着。途中で吹き飛ばされなくて良かった。
小河内岳から眺める景色は、本当に絶景。目の前に、富士山。左に塩見、右に荒川&赤石を従えて。
ヘロヘロと小屋に辿り着き、中を見ると・・・なんて素敵な小屋なんだ!!!
スバラシイ!!!全ての苦労が報われた。ノンビリ寛ぐ。

小屋で天気図を取る。天気予報を聞いていると、なぜか明日は「晴」らしい。荒れるんじゃなかったんかい?
明日は沈殿と思ってたけど、朝の天気が良かったら、三伏へ進もうかな・・・

5:30 起床、朝食
    悪天候のため、出発を遅らす。
9:00 出発
11:15 板屋岳に向かう途中で、撤退を決意。大休止。
12:30 大日影山直下のコル
15:30 小河内岳避難小屋(T.S.)
18:30 夕食
21:00 就寝


12/29(月)晴 時々 曇

朝起きて、いつも通り、棒ラーメンを食べる。だんだん、山の生活が体に馴染んできた。
耳を澄ますと、風の音がしない!!!外に出てみると、快晴無風。山行中、最高の天気だ。なぜ???
下山する事にする。名残惜しいので、一歩一歩踏みしめ、たくさん写真を撮りながら歩く。
三伏峠にて、4日ぶりに人に会う。「塩見?」と聞かれ、「荒川の方・・・」と答えると、ポカーンとしていた。
修理したワカンも、何とか持ってくれて、一安心。ここで、久々にアイゼン&ワカンから開放される。
足元が身軽になり、一気にダッシュで下山。塩川小屋までは、アッという間に下山。
そのまま下りるか迷ったが、バスの時間、天気(悪化中)、名残惜しさ、などから
塩川小屋で泊まる事にする。今夜は金縛りに遭いませんようにと祈りながら・・・

6:30 起床、朝食
8:00 出発
10:00 烏帽子岳
11:00 三伏峠
12:30 尾根取付
13:30 塩川小屋
18:00 夕食
20:00 就寝


12/30(火)晴

金縛りに遭わなくて、ラッキー!?温泉が楽しみで、サッサと起きる。行動食で、チャチャっと朝食。
頭の中は、温泉と美味しい食事の事で、いっぱい。
鹿塩温泉に到着。営業時間外にもかかわらず、快く、温泉に入れてくれた。本当に、感謝!!!
温泉に浸かっていると、徐々に、悔しさも湧き上がってくる。あぁ、力不足だったな・・・
もっともっと、強くならなければ!!!!!

6:00 起床、朝食
6:30 出発
8:30 鹿塩温泉着、温泉に入浴
10:30 鹿塩発
11:10/11:30 伊那大島駅
12:00/12:30 飯田駅
14:30 名古屋駅着


<反省点>

①体力不足
 ⇒深い雪でもスピーディにラッセルし続けられる体力が、単独の冬山では必須。
  深い雪への対応力と、スピードが足りなかった。

②経験不足
 ⇒単独で長期の冬山に入る事へのプレッシャーに打ち勝つには、もっとハードな経験が必要。

③装備不足
 ・壊れた装備:ワカン・中間着のジッパー
  ⇒事前に、キチンと装備をチェックし、紐類などは全て交換しておく必要がある。
 ・足りなかった装備:ラジオペンチ・細引(3m程度持って行ったが、5m以上は必要)・消毒液
  ⇒壊れた装備を迅速に、キッチリと修理するための装備が必要。特にラジオペンチ+針金は、最低限の装備。
  ⇒軽い切り傷が化膿した。栄養不足の状況下では、バンドエイドだけでなく、消毒液は必須と感じた。