鹿島槍ヶ岳報告書

<山域>北アルプス後立山 鹿島槍ヶ岳
<日程>2007/10/05-06
<メンバー>伊藤(聡)・浜島・水戸

10/5(金) 曇り 名古屋=大谷原(9:30)-冷池山荘TS(14:30)

10/6(土) 晴れ 冷池山荘TS(6:30)-遭難現場ケルン(7:00-7:30)-鹿島槍ヶ岳北峰ケルン(9:00-9:30)-
        冷池山荘TS(11:30-13:00)-大谷原(16:00)=名古屋

鹿島槍ヶ岳が特別な山になってまもなく3年になる。
藤井が逝ってからチーム猫屋敷が結成されたので、藤井を知らない仲間も多い中、みんな彼のために鹿島槍に登ってくれる。
藤井を知っている自分としてはこれほど嬉しいことはない。みんなありがとう。
きっと藤井も喜んでくれていることだろう。

夏に企画された追悼登山に出遅れた私と浜ちゃんは、水戸女史とともに3回目の追悼登山に臨んだ。
この3人が揃うと必ず役割が決まる。
浜ちゃんは、居酒屋浜ちゃんとして食材を調達し、旨い肴と酒を用意してくれる。
水戸女史は、スナックともことして華やかな宴を演出してくれる。
私はひたすら呑み食い笑うだけ。

赤岩尾根を登るのは初めてだが、うわさに違わぬ急登続き。
しかし距離は短く、2時間ちょっと頑張って高千穂平へ。
そこから1時間半くらいで稜線に上がりあっという間に冷池山荘へ。
10月で曇りということもあって快適。

さてさて、いよいよ「夜会2007~秋語り編~」の開宴!
出るわ出るわ、よくもまあ、と感心していると、
スナックともこのママから、ソーセージくらいボイルできるでしょ!の叱咤を浴びて仕方なく少し働く。
藤井の写真をテントの隅にそっと立てる。

男前豆腐に驚き、5等級の飛騨牛に舌鼓を打ち、響17年に感動し、ママの創作料理に△◎■※!?…
気が付けば21時、開宴から6時間経過。

翌日は当然のごとく二日酔い。
フラフラの足取りで遭難現場ケルンへ。

朝の冷たい風と持ってきた線香の香りが酔いを醒ます。
ビールとお花とタバコを供えてしばらくの間、在りし日の藤井に思いを巡らす。
時間の流れは無情にも藤井を思い出の一コマにしたようで涙は出てこない。
遭難現場はケルンから10mほど下のハイマツの一帯である。
ちょうどそのハイマツの間から、何の木だろうか、若木がひょこっと生えている。

浜ちゃんは体調不良でそこから下り、私と水戸女史は鹿島槍北峰を目指す。
稜線の西風は冷たく、冬の息吹を感じる。

北峰はさすがに風が強く、線香もタバコもなかなか火が点かない。
体が冷えてしまったのでお祈りそこそこで早々に引き返す。

下山の赤岩尾根の木道は滑りやすく、私も水戸女史も思い切りこける。
ちょっと凹みながらも3時間で大谷原の駐車場へ。
デカいザックが似合ってきた、と浜ちゃんに言わしめた水戸女史。
成長を感じます。

遭難以来、西俣出合までの林道を歩いた。
あの時、下山してきた山口くんとうなぎの背中を見ながら、なぜここに藤井がいない?
と号泣したことを思い出した。
やっぱり何年経っても悲しいものは悲しいし、寂しいものは寂しい。
理屈抜きの感情が今も去来する。

藤井!また来年会いに行くぞ。おとなしく待っとれよ