西穂高岳~槍ヶ岳報告書

<山域>北アルプス 西穂高岳~槍ヶ岳 
<日程>2007/09/08-09/09
<メンバー>田村・青山

9/8(土) 晴れ・・・のはずが小雨に深いガス
上高地発(6:00)-西穂山荘(8:00)-西穂(10:00)-奥穂(15:00)-北穂南稜TS(18:00)

猫屋敷を出発したのが、0時過ぎ。沢渡に着くのはどう考えても4時頃。
初日の行程が西穂~槍だったので、初日は睡眠不足も相まって壮絶な消耗山行になること間違いない。
しかし、ヨーロッパ帰りのトッポさんの実体験に基づく「体力つけなきゃ」的な力説を聞かされると、不思議とモチベーションも沸く。
それに天気予報は晴れだし。

さて沢渡に着いたら4時前。伊藤隊のテントを発見。上高地のゲートが開くのは5時。
たかだか1時間弱寝るためにテント張るのも面倒くさいということで、沢渡駐車場でオープンビバーク決行。そして5人でタクシー相乗りで入山。
田村隊は言わずもがな、どうやら伊藤隊も寝不足らしく、天気もなんだか怪しいということもあって、タクシーの中は既に悲壮な雰囲気に包まれていた。

上高地に着いてみると、天気予報は大外れ。雨まで降ってきそうだ。
槍沢から槍へと登る伊藤隊と別れ、田村隊は西穂へと向かう。晴れる気配は一向に無いが、おかげでとても涼しい。
二時間弱で西穂山荘着。
ここでトッポさんは水¥200と軍手¥100を買い、「軍手より水のが高いんですね!」、と小屋のお姉さんに皮肉混じりの捨て台詞を浴びせて去っていった。
あたりは深いガスが立ち込め、ときどき小雨がパラつく。
西穂~奥穂の稜線は雨でスリップしないようにと確認し合う。独標への途中で、とうとう寝不足が祟り、ツェルトを被って小仮眠。
ペースも落ち始め、10時過ぎに西穂着。ガスで視界は10m程。
ここからが核心。集中して歩いていたため、大まかにしか覚えていないが、やはり全体的に痩せた岩稜帯で、Ⅱ級程度の登下降が断続する。
岩質は脆くはないが凝灰岩みたいな感じで、濡れるとフリクションは効かない。
浮石が多く、ただでさえ濡れているため、足の置き場を間違えば危険だ。
間ノ岳、天狗岳などの他にも小さなマイナーピークが連続する。登りはまだしも、クライムダウンは緊張を強いられる。
当然登り返しもやたら多く、意外に疲れる。登ってはクライムダウン、また登ってはクライムダウンという印象。
一番の危険箇所だと思った所は「馬の背」。カンテ状のナイフエッジで、跨いだりへつったりしながら通過した。風が強いと危なそうだ。

西穂~奥穂はコースタイムが設定されていないが、僕たちはペースが早かった訳ではないので、コースタイムで6~7時間程度が目安だろうか?
違ったらゴメンナサイ(汗)。
そんなこんなで、奥穂に着いたのが15時。
これまで誰ともすれ違わなかったのに、奥穂の頂上は人だらけ。
あとの稜線はまあ大丈夫だろうと思いきや、奥穂と涸沢岳の下りもやはりクライムダウンを交えて集中を要する。
特に涸沢岳は大きく下り、北穂への登り返しはちとキツイ。

初日は槍までという計画だったが、北穂に着いたのが18時だったので、北穂南稜のテン場でビバークすることにした。
この時点で槍での伊藤隊との甘美なすき焼き大会は不発に終わった。
そういえば北鎌から縦走したときも南稜でビバークでしたね、と感慨に耽ることしきり。あの時の水戸さんが分けてくれた梅酒はメチャうまかったなあ。
ツェルトを設置し、さっそく北穂小屋まで「お疲れ様ビール」を買いに行く。
小屋までの登りが今山行で最も辛かったのは言うまでも無い。
テン場で棒ラーメン(火の国バージョン)を作って食べる。うまい!さすが「味のマルタイ」。
テン場の地面は岩畳状。今回は軽量化のためマットを持ってこなかったため、岩が当たって背中は痛いし、風が強くて寒いしで、まさにビバークであった。

9/9 ガス、時々晴れ
テン場発(7:00)-南岳(9:00)-槍の肩(10:00)-横尾(⒓:30)-徳沢(13:00)-上高地(13:40)

果たして翌朝起きてみたら腰痛気味だった。そしてトッポさんは発熱気味だった。イタタ。
天気は晴れ曇り半々といった感じ。
ここでトッポさんは無理せず涸沢経由で上高地に下山し、青山は一人で槍まで行って槍沢で降りてくるという風に計画変更。
お別れの棒ラーメンを食し、7時に出発。寝不足も解消し、滝谷の悪相を眺めながら軽快に飛ばす。
キレットも難なく通過し、南岳小屋のバイオトイレでキジ打つ。
ときどき晴れ間が覗き、ガスの中に稜線が浮かぶ。槍の肩に10時頃着。
あとは安心と、残っているレーションを全部食べて寝る。
レーズンパン1袋、チョコバー2本、アメ数個。槍から横尾まではトレイルラン気味で下り、槍~横尾間を1時間45分で走破。
半分チアノーゼ。上高地のベンチで寝ていたトッポさんを起こし、再び「お疲れ様ビール」を飲んで無事終了した。

下山食は伊藤さんオススメのレストラン、「十字路」で。ここはホントにウマいです。また行きたいですー。