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| アメリカの領土変遷と都市の人口ランキング（1810年） |
| １９世紀のおわり、大西洋を挟んだフランスでは革命後の混乱を収拾してナポレオンが実権を掌握し、スペインを破って、１８００年に北アメリカ大陸のルイジアナ（ミシシッピ川以西）の広大な領土を獲得しました。しかし、相次ぐ隣国との戦争の戦費調達のため、フランスはこの獲得したばかりの領土を１８０３年、アメリカに売ってしまいます。この結果、アメリカの国土は一気に２倍ほどに拡大しました。ニューオリンズは、その新たに購入した領土内にあり、１７世紀以来のフランス系移民の拠点（１７６３年〜１８００年はスペイン領）でした。フランスの影響の濃いこの都市が属する領域は、１８１０年当時は「州」になっていませんでした。 １８００年にフィラデルフィアからワシントンへ首都移転が実施されるとともに、上記の「ルイジアナ購入」もあって西への開拓の動きが徐々に強まる中ではありますが、１８１０年といえば、まだまだ東部の都市が中心の時代でした。具体的には、ニューヨークやフィラデルフィアと並び、州法の関係でいまだに市制を敷いていないボストン町が着々と人口を増やしています。また、ポートランドは当時ボストンと同じ州に属しており、現在はロブスターが名産の港町でメイン州最大の都市となっています。さらに、新首都ワシントンの発展がめざましく、隣接するアレクサンドリア（１８４６年にバージニア州に所属変更）、やジョージタウン（初代大統領の名にちなんだ地名で１８９５年にワシントンに編入。現在は立地する有名大学にその名を残しています）を加えると、すでに全米６番目の都市圏だったといえます。それでも、人口はようやく２万人です。全体として、マサチューセッツ州が１３都市を占めていますが、ピッツバーグ（ペンシルベニア州）やレキシントン（ケンタッキー州）、シンシナティ（オハイオ州）といった内陸都市もぼちぼち顔を見せつつあります。 また、大都市に隣接する衛星都市も、この時点でランキング下位に名を連ねています。２９位のチャールスタウンは造船で栄え、１８７４年にボストンに編入されました。３３位のブルックリンは、１９世紀後半に全米第３の都市にまで発展し、１８９８年に隣接する都市の区となり、現在は約２５０万の人口を抱えています。ちなみに、大リーグのロサンゼルス・ドジャーズは、昔はブルックリンに本拠地がありました。 ３６位には、１６２０年にピューリタンのメイフラワー号が上陸した岩と伝えられる「プリマス・ロック」があるプリマスがランクインしています。現在は人口７０００人ほどの小さな町ですが、アメリカの歴史がスタートした町のひとつということで、多くの観光客が訪れます。 |
◆アメリカの領土と州の変遷 （１８1０年）
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◆アメリカの都市・人口ランキング（１８１０年）
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◆１８１０年にランクインした都市の現在
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【注記】
・左欄の矢印は1800年と比較した順位変動を示す。↑↑、↓↓は５位以上の変動、NEWは新たなランキング入りを示す。
・人口の数字に付いた#は、１０年前人口からの減少を表す。
・ニューオリンズはオルレアン・テリトリー所属。ルイジアナ州（ＬＡ）は未成立（１８１３年州昇格）
・アレクサンドリアは現バージニア州、１７９１年〜１８４６年ワシントンＤＣ所属。
・ワシントンＤＣは連邦のコロンビア特別区であるが、１８７１年までは内部に市や町といった自治体が存在。
・ジョージタウンは現在、コロンビア特別区の一部（１８９５年合併）
・ノーザンリバティーズ、サウスワークの「区」はDistrict
・ノーフォーク、ランカスター、ピッツバーグ、リーディング、ヨークの「区」はBorough
・ポートランドは現メイン州、当時のメイン地方はマサチューセッツ州の飛び地
・チャールスタウンは１８７４年にボストン市へ編入。
・ブルックリンは現在、ニューヨーク市の一部（１８９８年編入）
・ニューロンドンで１０年で人口が２０００人近く減少しているのは、１８０１年にウォーターフォードが分離したためと考えられる。
なお、アメリカの自治体は州憲法でその権限の範囲が定められるので、「市」「町」といった区別は本質的な意味を持たないと考えられる。
また、アメリカの当時の国勢調査において「都市」として分類されていないだけで、集落としてのTownは上記以外にも数多く存在する。
（データ出典：US Census Bureau、都市圏ではなく、市域の人口)
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