■歴史の概要
コロンブスによる「発見」以来、ヨーロッパ人により「新大陸」と呼ばれた領域へ、イギリス・フランス・スペイン・オランダなどが進出。フランスの入植活動はニューオリンズ(ルイジアナ)やカナダ・ケベックが中心。スペインは中南米に加え、モントレー(カリフォルニア)やサンタフェ(ニューメキシコ)を拠点としてアメリカ西部にも進出した。こうした中、バージニア、ニューヨーク、ペンシルベニア、マサチューセッツを中心とするイギリス系の13植民地が1776年7月4日、本国から独立を宣言。イギリスとの7年に及ぶ戦い(アメリカ独立戦争)の結果、1783年のパリ条約で独立を勝ち取り、連邦制に基づく「アメリカ合衆国」(United
States of America)が成立。
その後、徐々に西部への開拓・領土拡張が進められ、19世紀半ばに西海岸(カリフォルニア)に到達。金の発見(ゴールドラッシュ)もあって、西部開拓は加速した。一方で、1840年代以降起こった産業革命により、東部や中西部の工業都市も大きく発展。
1861年、奴隷労働を前提とした農業に依存する南部が、奴隷制廃止に強く反対して連邦を離脱して「独立」。この「独立国」は国際的に承認されなかったが、以後4年にわたり、国土を二分して戦う内戦となる。この「南北戦争」は数十万の戦死者を生み、アメリカの歴史上でももっとも衝撃的な出来事の1つとされている。南北戦争終結後、当面の間、アメリカは国内の復興に専念し、対外不干渉の原則を堅持した。
19世紀末以降、帝国主義の風潮の中で、アメリカも海外に進出するようになり、フィリピンやハワイ、グアム、プエルトリコといった領土を獲得。その多くは、現在もアメリカの領土。この時代、「外への拡張」と同時に、「外からの動き」として、アイルランド系やドイツ系など、新たな移民が多数流入。
1930年代の大恐慌に続く不況は、アメリカ経済に大打撃を与えたが、ニューディール政策などの政府による景気刺激策を受けて経済は復興に向かう。日本との太平洋戦争に勝利するとともに、国際連合の設立にも主導的な役割を果たし、東西冷戦下においては、自由主義陣営のリーダーとして国際社会での発言力を強めた。国内的には、伝統的な工業都市が衰退する一方で、メキシコとの国境に近いカリフォルニアやアリゾナなど、いわゆる「サンベルト」地帯で、特にヒスパニック系の移民の流入・人口増加が激しくなった。この傾向は現在も続いている。
1990年代のソ連崩壊、冷戦終結を経て、世界で最も有力な国家として国際社会をリードしている。経済のみならず、学術・科学技術の面でも世界のトップを走っている。
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