263丁目? 0丁目? アメリカ・カナダの住所表記

 
1.アメリカの住所表記の方法と「263丁目」

日本の都市では「○丁目」という住所表記が一般的ですが、これらの中で最大の数は、帯広市の西十五条南41丁目です。しかし、アメリカにはこれよりずっと大きな「丁目」があります。

まずは、こちらのリンク先の地図をご覧ください。

地図上に見える"263 Street" 日本語に直訳すれば「263丁目」ですが、ニューヨークのブロンクス区(松井の所属するヤンキースタジアムのある区)にあります。地図の東側にブロードウェイ(Broadway)というのが南北に走っていますが、これが、ミュージカル劇場で有名なマンハッタンの「ブロードウェイ」の成れの果てです。ニューヨークの中心であるマンハッタン島の場合、東西に走る道を、南から順に、1st Street、2nd Streetと命名しており、この命名方法が、川を隔てた対岸のブロンクスにまで影響して、通し番号がついているため、263などという大きな数字になっているのです。

アメリカの住所表記は、ある区域を「町・丁」とするのではなく、道路単位で表示します。よって、必然的に国内のあらゆる道(!)に名称がついています。こうした表記は欧米の主流です。住居番号のつけ方は、道路の片側が奇数、反対側が偶数で、長い通りになると1000番地を超える例も珍しくありません。住居番号は、同じ道路でも隣の市町村に入るとリセットされ、また1からはじまります(通りの名前は普通は変わらない)

また、住所表記の順番は日本と逆で、

1.番地
2.町名
3.アパート、マンションの部屋番号
4.市名(ニューヨーク市の場合は区名)
5.州名(2文字の略称:USPS(アメリカ郵政事業庁)指定)
6.郵便番号(ZIP Code)

という順番になります。(3.の位置がややこしい…)

日本語にあえて訳せば、

1 West 263rd street #101, Bronx, NY 10471 は、

「郵便番号10471 ニューヨーク州ブロンクス区西263丁目1番地101号室」

となります。ちなみに、「#」は「ナンバー」と読みます。「No.」という表記はイギリス表記で、アメリカでは使いません。

※厳密には、ここでいう「番地」とは日本の「住居番号」に相当すると考え、「1番地」ではなく「1号(住居番号)」と訳すのが適切かも知れません。

 

2.ニューヨーク・マンハッタンの住所表記

マンハッタン島内の住所表示をもう少し詳しく見てみると、以下のようになります。

1.南北に走る道は、東から順に 
      "1st Avenue"〜"12th Avenue"(条)

2.東西に走る道は、南から順に 
      "1st Street"〜"215th Street"(丁目)
3.Avenueの番地は、
      通りの東側の建物が奇数、西側が偶数

4.Avenueの番地は、
  北に進むごとに数字が大きくなる


5.Streetの番地は、
      通りの北側の建物が奇数、南側が偶数

6.Streetの番地は、マンハッタンの中央を南北に貫く
 5th Avenueを中心(1番地)として、
 西側はW (Westside)、東側はE(Eastside)を
 番地の後ろにつける。
  1ブロックごとに100号ずつ大きくなる。

 例えば、MOMA(ニューヨーク近代美術館:現在はクイーンズに仮移転中)の住所は、”11W. 53rd Street, New York” ですが(敢えて訳せば、「ニューヨーク市53丁目西11番地」)、これは、5th Avenueから53rd Streetを西に入ってすぐの北側にあると解釈することができます。ただし、旧ワールドトレードセンターなどが立地する島の南部は、この限りではありません。証券取引所で有名な「ウォール街」は、文字通りWall Street沿いにあります。なお、4th Avenueと6th Avenueは中心部になく、それぞれ別の名前になっています。

 


3.上には上が! 「5000丁目」もある!

263丁目で驚いては(?)いけません。アメリカはスケールが違います。中西部の大平原地帯、カンザスやイリノイ州では、3000とか4000とかいった道路もいくつか見受けられます。私がこれまでに発見した中で最高は、以下のリンク、こちらのリンク先→ 「5000丁目」です。 これより大きい例を見つけられた方は、是非掲示板上でお知らせください(笑)。

 


4.でも、「0丁目」もある!

いえいえ、大きいだけがアメリカではありません。小さい方も揃っています。ただ、こちらはカナダのお話。

飛び地のコーナーで紹介している「ポイントロバーツ」のちょっと東、シアトル・バンクーバー間の米加国境(カナダ側)に、1本の直線道路が通っています。ここ、なぜか "Zero Avenue"(「0条」とでも訳しましょうか)になっているのです。
(現地の地図を見るには、こちらをクリックしてください。)

国境線のすぐ内側(というか国境沿い)なので、基線として「ゼロ」という数字が使われたのでしょう。この道路自体は走ったことがないのですが、周辺の道路をドライブした状況から察するに、林に囲まれ、人家はほぼ皆無で、国境沿いにフェンスがある…という状況だと思います。


"Zero Avenue"がある場所

5.では、一番大きい番地は?

 上に書いたように、アメリカの地番は、同一市町村内で道路が長ければとても大きな番号になります。特に西部では、1つの自治体が非常に大きいので、10000を超えるケースも出てきます。そこで、「最大の地番はいくつか?」をちょっと探してみました。

 現在のところ、私が発見した中で最大の住居番号は、92500番地です。

 カリフォルニア州東部の砂漠地帯にある石材屋さん(地図のリンク)なのですが、
 住所は、 92500  Airport Boulevard, Thermal, CA 92274 になっています。
さしずめ、「郵便番号92274 カリフォルニア州サーマル町 空港大通り92500番地」といったところです。

 こちらも、もしこれより大きい住所を発見された方は是非お知らせください(笑)。

 

6.変な番号のつけ方 ”8.5番地”

ボストン近郊のとあるレストランに行った際、レジに置いてあった名刺を見ると、住所が、"8.5 Lexinton Street"となっているのを見たことがあります(通りの名称は仮名)。上記のとおり、アメリカの番地(住居番号)は通りの片側が奇数(1,3,5...)、反対側が偶数(2,4,6...)で表示されます。空き地が多いときは、将来建物が出来ることを見越して、あらかじめ番号をあけて(10号から広い空き地を挟んで次の建物を50号にするなど)設定するのが通常です、まれに、1番地と3番地の間に新たに建物ができると、枝番として通常は"1A"とか"3A"になるのですが、0.5だと、道路のどちら側にあるのか分からない…。

 

[関連コラム:アメリカの道路の名前の付け方]

 


[アメリカ大陸地理情報館・目次へ]

 


アメリカ大陸30000km

アメリカ大陸30000km
↑↑
トップページへ戻る
(c) 2003-2006 Taihaku, All Rights Reserved.